
ヴィーガニズムとは、究極の倫理と道徳を求める平等主義思想のことであり、地球上に共存する動物、自然、人類を分け隔てなく愛し、尊重することに重きを置いています。
そのため、人間以外の種族を不当に支配し搾取する現代の動物搾取産業に断固反対しており、ヴィーガニズムの目的も「動物搾取の廃止」と「人間の支配からの動物の解放」と定義されています。
そして、この思想を生活のすべてに於いて実践する人のことを、ヴィーガンと呼びます。
日本ではヴィーガンという名称が、「肉や魚を食べない人」や「野菜をたくさん食べる人」などと勘違いされて広まっていますが、実際のヴィーガンとは「人間の支配から動物を解放することを目指す社会運動家」を意味しています。
本日はヴィーガン歴15年以上の双子が、日本人がよく知らない「ヴィーガニズム」と「ヴィーガン」について詳しく解説いたします。

- 料理人
- ヴィーガン歴15年以上
- NZ国立Toi Ohomai工科大学とWaikato工科大学で2年間料理を学び、同国のレストランで4年間修業
「ヴィーガニズム」とは、究極の倫理と道徳を求める哲学思想

ヴィーガニズムとは、地球上に共存する全ての生きものの死と苦しみを減らすことを目的とした社会運動であり、究極の倫理と道徳を求める「哲学思想」のことです。
生きとし生けるすべての生きものに「平等の権利」を要求しており、動物の生命も人間のものと同様に、尊く重要であると考えます。
ヴィーガニズムが説くのは、
- 動物の権利を人間が侵害してはならない
- 動物たちの生きる権利を人間が奪ってはならない
という「動物倫理思想」です。
ヴィーガニズムの歴史
太古からギリシャやインド、中国などの世界各地で、動物性の食品を避ける食事法を実践する団体は存在しましたが、現在の「ヴィーガニズム」を形づくったのは以下の出来事です。
1806年:肉、卵、乳製品、その他すべての動物由来食品を避けるという考えが、英国の医師ウィリアム・ランベ博士により公表される。
彼は「完全菜食」について言及した最初のヨーロッパ人の一人であり、完全菜食がもたらす健康上の利点を積極的に啓蒙した。
1944年:英国ベジタリアン協会の会員だったドナルド・ワトソン氏(1910ー2005)によって、「乳製品と卵も摂取しないベジタリアン」という意味の「ヴィーガン」という言葉が作られる。
VEGETARIAN(ベジタリアン)の最初の3文字と最後の2文字を足して「VEG+AN(ヴィーガン)」とした。
1944年:ドナルド・ワトソン氏、エリーズ・シュリグレー女史により、英国ヴィーガン協会が設立される。
1960年:アメリカで米国ヴィーガン協会が設立される。
英国ヴィーガン協会の設立記念日である11月1日は、「世界ヴィーガンデー」に定められています。
英国ヴィーガン協会の成長を記した小雑誌「ヴィーガン協会の70年」はこちらからお読みいただけます。
ヴィーガニズムの定義
ヴィーガニズムはもともと「人間による搾取からの動物の解放の原則」として定義されていました。
1951年 ヴィーガン協会
- ヴィーガニズムという言葉は、人間は動物を搾取せずに生きるべきだという教義を意味するものとする。
- ヴィーガン協会はその目的を達成するために、人間による食糧、日用品、労働、狩猟、生体解剖、および人間による動物の生命の搾取を含むあらゆる用途のための人間による動物の利用を終わらせることを誓約する。
- 当協会の目的は、人間による動物搾取を終わらせることである。
それから何度か修正が加えられ、現在のヴィーガニズムの定義は次のようになっています。
1988年 ヴィーガン協会
- ヴィーガニズムとは、実行可能な限り、食物、衣類、その他の目的のために動物を搾取し虐待する、あらゆる形態を排除しようとする哲学であり生き方である。
- さらに言えば、動物、人間、環境の利益のために、動物を使用しない代替品の開発と使用を促進する。
- 食事用語では、全体的または部分的に動物由来の製品を一切使用しない習慣を意味する。
これを簡単に言うと、ヴィーガニズムとは「生活において動物搾取や動物虐待をしないように最大限努力し、ヴィーガンの代替え商品を啓蒙して、食事は完全菜食にする生き方」となります。
ヴィーガニズムの目的
ヴィーガニズムの最大の目的は、「動物搾取の廃止」と「動物の解放」です。
動物や海洋動物たちにとっての「地獄」を作り出す、以下のような「動物搾取産業」を完全に廃止し、動物や海洋動物たちを人間の支配から解放することを目指しています。
- 畜産業
- 酪農業
- 鶏卵業
- 水産業
- 水産養殖業
- 革産業
- 毛皮産業
- 羊毛農家
- 羽毛農場
- 養蚕工場
- 動物実験施設
- 動物を使用した娯楽施設など
動物や海洋動物の体験している「地獄」については、『観たら元の自分には戻れない|ヴィーガンドキュメンタリー17選』の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
ヴィーガニズムは「人間中心主義」からの脱却
人間中心主義(Anthropocentrism)とは、「自然環境も動物も、すべて人間によって利用・支配されるために存在している」という考えのことです。
「人間が幸せになるためなら、自然や動物をどのように扱っても構わない」という思想が「種差別(しゅさべつ:Speciesism)」を招き、環境破壊や非倫理的な動物搾取産業を次々と生み出しています。
「種差別」とは、人間以外の生きものに対する差別のことです。
種差別主義者は人間の特権のみを守り、それ以外の生命の権利をないがしろにします。
つまり「種(しゅ)が違う」という理由だけで搾取の対象とし、畜産、実験、狩猟、娯楽などに使用することに何の疑問も持ちません。
ヴィーガニズムは「人間中心主義」から脱却した人たちによって支持されており、世界から「種差別」を撤廃し、自然や動物たちに平安をもたらそうとしています。
ヴィーガニズムは「完璧」を求めていない
現代を生きる人間にとって、生活から動物由来の成分を100%完璧に除外することは、残念ながらできません。
なぜなら、ありとあらゆるものに「動物由来の原料」が使われているからです。
車や自転車のタイヤ、道路のアスファルトの結合剤、住宅建材(断熱材、壁紙、接着剤、合板、集成材、ペンキ、石膏、コーティング剤、床用ワックス)、浄水フィルター、電池、パソコン、テレビ、電気絶縁、不凍液、機械の潤滑剤、バイオ燃料、肥料、ワクチン、抗体・薬理学的タンパク質、抗毒薬、糖尿病用のインスリン、心臓手術用の弁、ビニール袋、プラスチック、ゴム、かみそり、書籍のインク、写真のフィルム、花火、骨灰磁器(ボーンチャイナ)などなど・・・
調べれば調べるほど、あれにもこれにも動物由来の成分が含まれていて愕然とします。
しかしだからといって、ヴィーガニズムを諦める必要はありません。なぜなら、ヴィーガニズムは完璧を求める思想哲学ではないからです。
ヴィーガニズムの本質は、最善を尽くすこと。
今の自分にできることを探し出し、それに全身全霊で取り組むことが、ヴィーガニズムでは求められているのです。
「ヴィーガン」とは動物の搾取を拒否し、動物の解放を目指す人

ヴィーガニズムが説く哲学思想を信奉し、生活全般において実践する人のことを「ヴィーガン」と呼びます。
そのためヴィーガン食だけを食べて、ヴィーガニズムの思想を実践しない人のことはヴィーガンとは呼びません。
ヴィーガンは地球上に共存しているすべての生きものに、できる限り迷惑をかけずに生きようと努力しているため、食事、ファッション、化粧品、日用品、娯楽などに、倫理的なこだわりがあります。
ヴィーガンが食べられるもの・食べられないもの
肉食を無理やり禁止しなくても、「動物搾取をしない」というヴィーガニズムの思想を実践しているうちに、自然と植物だけの食事になっていきます。
「動物を食べてはいけない」のではなく、動物や動物の分泌物を「食べ物だと思わなくなる」からです。
【ヴィーガンが食べられるもの】
- 野菜
- 果物
- 豆類
- 大豆製品
- ナッツ・シード
- 穀物
- きのこ
- 海藻
- 代替え食品
- ハーブ・スパイス
ヴィーガンが食べられる食材については、『【菜食料理人が教える】ヴィーガンが食べられる食材一覧|買い物リスト付き』の記事で詳しく解説しています。
【ヴィーガンが食べられないもの】
- 肉・食肉加工品
- 魚介・水産加工品
- 卵・卵製品
- 牛乳・乳製品
- 昆虫
- ハチミツ
- ミツバチの生産物
- ゼラチン
- 動物由来の添加物
- 製造工程で動物の原料を使ったもの
ヴィーガンが食べられない食材については、『【菜食料理人が教える】ヴィーガンが食べられない食材一覧|食べない理由付き』の記事で詳しく解説しています。
ヴィーガンが身につけないもの
ヴィーガンは、動物素材を使ったファッションは身につけません。
ファッションの原料に使われる動物たちは、悲惨な状態で飼育され、残酷な方法で殺されます。
ヴィーガンは、動物たちの苦しみが残存しているものは、悲しくて身にまとうことができないのです。
ちなみにヴィーガンが選ぶのは、次のような素材で作られたファッションです。
- オーガニックコットン
- リネン
- バンブー
- コルク
- パイナップルレザー
- マッシュルームレザー
- 再生プラスチック
- 麻
- テンセル・リヨセル
- テンセル・モダール
- アセテート・トリアセテート
- 人工羽毛
- カポック(植物性ダウン)
- エコヴェロ
- 生分解性バイオプラスチック
ヴィーガンが使用しないもの
ヴィーガンは、
- 動物由来の成分が含まれているもの
- 動物で実験されたもの
- 動物で実験された原料で製造されたもの
を使用しません。
多くの化粧品や日用品には、下のリストにあるような動物由来の原料が含まれているため、ヴィーガンは原材料をよく読んでから商品を購入するようにしています。
- ラノリン(羊の皮脂腺からの分泌物)
- グリセリン(動物性脂肪が由来)
- ミツロウ(ミツバチの巣を溶かしたもの)
- カーマイン(コチニールカイガラムシを潰して作る赤い顔料)
- シェラック(ラックカイガラムシが分泌する樹脂)
- コラーゲン(豚や牛の結合組織、骨、皮膚、靭帯が由来のタンパク質)
- 乳酸(動物の血液や筋肉組織を発酵して得られる成分)
- アルブミン(卵白由来のタンパク質)
- シルクパウダー(蚕由来のタンパク質)
- パールパウダー(真珠をパウダーにしたもの)
- カタツムリの粘液(カタツムリから採取したもの)
- エラスチン(動物の結合組織由来のタンパク質)
- システイン(動物の毛・羽毛由来のアミノ酸)
- アラントイン(動物の尿から作られる成分)
- アルファヒドロキシ酸(動物の乳由来)
- プラセンタ(屠殺された動物の子宮から作られる)
- 天然香料(動物の臭腺からの分泌物)
- カゼイン(牛乳由来のタンパク質)
- スクアレン(サメの肝油)
- グアニン(魚の鱗)
- オレイン酸(動物性の脂肪)
- ステアリン酸(豚、牛、羊の胃から採取される)
- ケラチン(動物の毛や角から作られる)
- レチノール(動物由来)
- ラクトフェリン(牛乳由来の鉄結合タンパク質)
- グルコサミン(エビやカニの外殻の成分)
- コンドロイチン(動物の軟骨由来)
ちなみに双子は「iHerb」、「Qoo10」、「スタイルコリアン」などで、ヴィーガンコスメを購入しています。これらの通販サイトでは種類豊富なヴィーガン製品が販売されており、選ぶのに困るくらいです。
ヴィーガンが行かない場所・やらないこと
ヴィーガンは、動物を使った娯楽施設には行きません。
エンターテイメントに使用される動物たちは、生息地の大自然から誘拐され、不自然な環境下に監禁され、本能に反した生活を強いられています。
動物エンターテイメント業界は、動物たちを狭いコンクリートの檻や小さなプールに幽閉して行動を制限し、虐待に次ぐ虐待をおこない、精神的にも肉体的にもダメージを負わせて服従させます。
自由を奪われた動物たちは無理やり芸を仕込まれ、火の輪くぐり、自転車乗り、綱渡り、楽器演奏、絵描き、水中ジャンプやボール遊びなど、自然界では決してやらないことを強要されています。
ヴィーガンは「動物虐待の廃止」と「動物の解放」を求めているため、これらの動物搾取の娯楽には断固反対の立場を取っているのです。
- 動物園
- 水族館
- サーカス
- サファリパーク
- マリンパーク
- サファリ
- ふれあい牧場
- 猿まわし
- 釣り堀
- 競馬
- 闘鶏
- ドッグレース
- ロデオ
- 闘牛
同じ理由から、ヴィーガンは動物を使った趣味や遊びにも反対しています。
- 乗馬
- 馬車
- ラクダ乗り
- 象乗り
- イルカと遊ぶ
- 釣り
- 金魚すくい
- 昆虫採取
- 狩猟
- 熱帯魚を飼う
また、ヴィーガンがブリーダーやペットショップから動物を購入することもありません。
恵まれない動物たちに救いの手を差し伸べる余裕があるヴィーガンは、保健所や里親探しのグループから動物を引き取ります。
ヴィーガンが行う社会活動
ヴィーガニズムの定義である「動物搾取の廃止・人間による支配からの動物の解放」を人々に啓蒙し、動物搾取産業の実態を世間に開示して、種差別の撤廃を求める社会活動のことを「ヴィーガン・アクティヴィズム(ヴィーガン活動)」と言います。
ヴィーガン活動を行うヴィーガンのことは、「ヴィーガン・アクティヴィスト(ヴィーガン活動家)」と呼びます。
ヴィーガン活動家たちは「動物の権利」を求め、以下のような活動に取り組んでいます。
- 動物搾取産業に潜入し、業界の闇を暴いた映画やドキュメンタリーを作成する。
- ブログ記事を書いたり、ソーシャルメディアを使用したりして、ヴィーガニズムに関する情報を発信する。
- ユーチューブにヴィーガニズムの情報動画をアップする。
- ヴィーガンのコミュニティで、ボランティア活動をする。
- ヴィーガンの食事会やイベントなど、ヴィーガニズムを促進するための地域イベントを企画する。
- 動物搾取産業の残酷さや環境コスト、ヴィーガン食の健康上の利点などについての講演をおこなう。
- 街頭でヴィーガン・ドキュメンタリーを上映して、道行く人々に動物搾取産業の現状を知らせる。
- 「動物の権利」の抗議デモ行進を企画したり、参加したりする。
- 「動物搾取廃止」の請願書に署名を集める。
ヴィーガンの活動家については、『世界に新風を吹き込む!海外のヴィーガン・ユーチューバー18選』の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
まとめ:ヴィーガニズムを信奉するヴィーガンが目指すのは、地球上の全ての存在が幸せに暮らせる「ヴィーガン世界」の立国

今回は、日本人がよく知らない「ヴィーガニズムとヴィーガン」について解説しました。
ヴィーガニズムの最大の目標は、「地球上に共存するすべての命が、平等に幸せを享受できる世の中を創る」というものです。
動物の命、自然界の命、人類の命、これらすべての命を分け隔てなく愛し慈しむ。
これが究極の平等主義である「ヴィーガニズム」と、それを信奉する「ヴィーガン」の本質なのです。
人間の利益だけを追求する人間中心主義思想に洗脳された人たちからは、「狂ったカルト宗教みたいだ」と揶揄されます。しかしヴィーガンが目指しているのは宗教の新興などではなく、数百数千年後の未来に「ヴィーガン世界」を興すことです。
地球上の生きとし生けるすべての生命が、愛と尊敬のうちに生き、自由を謳歌して、幸せに寿命を全うできる「ヴィーガン世界」を、本気で創ろうとしています。
遥か遠い未来で現代を振り返ったときに、「動物搾取は人類史上最大の汚点だった」と言ってもらえるように、ヴィーガンは後の世に希望を託し、いま愚直にヴィーガニズムを実践しているのです。

あなたもヴィーガンに挑戦してみたいと思ったら、『ヴィーガンの始め方完全ガイド|移行に失敗しないための11の手順』の記事を参考にしてみてね!
ヴィーガンになるメリットを以下の記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。より一層ヴィーガンのことが理解できます。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。