古事記や日本書紀にも登場し、「神が宿る植物」と呼ばれるマコモダケをご存じですか?
イネ科の植物「マコモ」の茎が黒穂菌(くろぼきん)の寄生によって肥大化したこの作物は、須佐之男命(スサノオノミコト)によって始めて地上に植えられたとされ、神社の御神体やしめ縄、天皇の儀式などに使用されるほど神聖な植物です。
嬉しいことに、マコモダケは栄養価の高いスーパーフードで、豊富な食物繊維、カリウム、クロロフィル、ケイ素などが、ヴィーガンの健康維持と美容に貢献してくれます。
今回は、このマコモダケを主役にした「マコモづくしのヴィーガン定食」をご紹介します。マコモダケ本来の風味と食感を存分にお楽しみいただけるように、シンプルなレシピに仕上げてあります。
旬は9月中旬~11月初旬と短いため、見かけたらお買い求めを。神秘の野菜「マコモダケ」が織りなす、古(いにしえ)の味覚をぜひご堪能ください。
- 料理人
- ヴィーガン歴15年以上
- NZ国立Toi Ohomai工科大学とWaikato工科大学で2年間料理を学び、同国のレストランで4年間修業
マコモダケの処理方法
マコモダケは厚い外皮で覆われているので、まずはこれを剥きます。
この状態にしたら、今度はピーラーで薄皮を剥きます。
緑の筋が見えなくなるまで剥いて、白い部分のみの状態にします。
マコモダケは皮を剥いてしまうとどんどん乾燥していくので、1レシピごとに1本づつ皮むきをしてお使いください。
収穫から時間が経つと黒穂菌の胞子が成熟し、内部にゴマのような黒い斑点の「マコモズミ」が出てきます。食味や見た目は悪くなりますが、無害なので食べても大丈夫です。
マコモづくし① マコモダケの梅酢漬け
【マコモダケの梅酢漬けの材料(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- 梅酢:50g
- 本みりん:50g
- 昆布だし:小さじ1
- 生姜:2かけ(30g)
- ミョウガ:3本
作り方① 野菜を準備する
皮を剥いたマコモダケを5ミリ厚さにスライスします。
生姜は千切りに、ミョウガは縦に8つ切りにします。
作り方② 野菜を梅酢に漬ける
袋にマコモダケ、生姜、ミョウガ、梅酢、みりん、昆布だしを入れて優しく揉んだら、冷蔵庫で1日以上漬け込みます。
冷蔵庫で保存し、1週間以内に食べ切ってください。
マコモづくし② マコモダケの即席マリネ
【マコモダケの即席マリネの作り方(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- パプリカ:1個
- エクストラバージンオリーブ油:大さじ3
- レモン汁:大さじ3
- 自然塩:小さじ1
- 黒コショウ:小さじ1
- ドライハーブミックス:小さじ1(オレガノ、タイム、パセリなど)
- 刻んだクルミ(飾り用):1/4カップ
作り方① 野菜を準備する
皮を剥いたマコモダケをピーラーでリボン状に削り、長さを整えて切ります。
パプリカはワタと種を取って、縦に薄くスライスします。
作り方② ドレッシングをつくる
器にオリーブ油、レモン汁、塩、コショウ、ハーブを入れて、よく混ぜ合わせておきます。
作り方③ 野菜をドレッシングに漬ける
袋にマコモダケ、パプリカ、ドレッシングを入れて優しく揉んだら、冷蔵庫で3時間以上漬け込み、食べるときに刻んだクルミを振りかけます。
冷蔵庫に保存し、2~3日以内に食べ切ってください。
マコモづくし③ マコモダケのごま和え
【マコモダケのごま和えの材料(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- 自然塩:小さじ1/2
- 黒ごま:大さじ4
- 醤油:小さじ1
- 本みりん:小さじ1
- 素焚糖:大さじ1
- 昆布だし:小さじ1/2
作り方① マコモダケを塩に漬ける
マコモダケは縦半分に切って3ミリ厚さのスライスにし、袋に塩と一緒に入れて軽く揉んだら30分~1時間くらい置いてしんなりさせます。
流水で洗ってからザルにあけ、ギューッと絞って水気を取っておきます。
作り方② ごま和えの素をつくる
黒ゴマは、すり鉢などですっておきます。
器に黒ごま、醤油、みりん、素焚糖、昆布だしを入れて、よく混ぜ合わせます。
作り方③ マコモダケと和える
ボールにマコモダケとごま和えの素を入れ、よく絡めます。
冷蔵庫に保存し、2~3日以内に食べ切ってください。
マコモづくし④ マコモダケのきんぴら
【マコモダケのきんぴらの作り方(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- 人参:1本
- こめ油:大さじ2
- 酒(炒め用):大さじ2
- 醤油:大さじ1
- 酒(味付け用):大さじ1
- 本みりん:大さじ1
- 素焚糖:大さじ1
- 白ごま:大さじ1
- 鷹の爪(輪切り):小さじ1/2
作り方① 野菜を切る
皮を剥いたマコモダケと人参を千切りにします。
作り方② マコモダケと人参を蒸し煮する
フライパンに油を熱し、マコモダケと人参を入れてよく混ぜたら酒を回しかけ、蓋をして野菜がしんなりするまで中火で5~10分蒸し煮します。
作り方③ 調味料を加えて炒める
醤油、酒、みりん、素焚糖、ごま、鷹の爪を加え、中火で3~4分炒めて味をつけます。
粗熱が取れてから冷蔵庫に保存し、2~3日以内に食べ切ってください。
マコモづくし⑤ マコモダケのオリーブ油焼き
【マコモダケのオリーブ油焼き(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- エクストラバージンオリーブ油:大さじ2
- 自然塩:小さじ1/2
- かぼす果汁:1個分*レモン果汁で代用可
- 黒コショウ(飾り用):適量
- パプリカパウダー(飾り用):適量
- かぼすスライス(飾り用):1個分*レモンスライスで代用可
作り方① マコモダケを切る
皮を剥いたマコモダケは、1センチ厚さの輪切りにします。
作り方② かぼすを絞る
かぼすを絞って、果汁を準備しておきます。
作り方③ マコモダケを焼く
フライパンにオリーブ油を熱し、マコモダケを入れたら塩を振りかけます。
両面が軽く色づくまで焼き、最後にかぼす果汁を回しかけてから火を止めます。
器に盛り付けたらコショウとパプリカを振りかけ、スライスしたかぼすを飾ります。
マコモづくし⑥ マコモダケご飯
【マコモダケご飯の作り方(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- 油揚げ:2枚
- こめ油:大さじ1
- 米:2合
- 水:400g(炊飯器の線よりちょっと少な目)
- 醤油:大さじ1
- 酒:大さじ1
- 本みりん:大さじ1
- 昆布だし:小さじ1
作り方① マコモダケと油揚げを切る
マコモダケは皮を剥き、7ミリ厚さの短冊に切ります。
油揚げは、米粒くらいの大きさのみじん切りにします。
作り方② マコモダケを焼く
フライパンに油を熱し、マコモダケを入れて両面こんがりと焼きます。
作り方③ ご飯を炊く
米は軽くといで1時間以上浸水させ、ザルにあけます。
炊飯窯に米、水、醤油、酒、みりん、昆布だしを入れてよく混ぜたら、上に油揚げを振りかけてマコモダケを散らします。
普通の炊飯モードで炊いてください。
炊き上がったら優しくかき混ぜてください。おこげもできていますよ!
マコモづくし⑦ マコモダケのお味噌汁
【マコモダケのお味噌汁の材料(2~4人分)】
- マコモダケ:1本
- ナス:2本
- ミョウガ:2本
- 油揚げ:2枚
- こめ油:大さじ2
- 水:700g
- 昆布だし:小さじ1
- 味噌:大さじ2
- 酒:小さじ1
- 本みりん:小さじ1
- 山椒の粉(飾り用):適量*お好みで
作り方① 野菜と油揚げを切る
皮を剥いたマコモダケとナスは乱切りにします。
ミョウガは縦に4つ切りにします。
油揚げは短冊に切ります。
作り方② 合わせ味噌をつくる
器に味噌、酒、みりんを入れてよく混ぜ、合わせ味噌を作っておきます。
作り方③ マコモダケとナスを炒める
鍋に油を熱し、マコモダケとナスを入れて、しんなりするまで炒めます。
作り方④ 材料を加えて沸騰させる
水、昆布だし、ミョウガ、油揚げを加え、強火で沸騰させます。
作り方⑤ 合わせ味噌を加える
火を止め、合わせ味噌を加えてよく溶かします。
器に盛り、お好みで山椒の粉を振りかけます。
まとめ:体をデトックスする「マコモダケ」を使って、マコモづくしのヴィーガン定食を作ってみよう!
スーパーフードのマコモダケには、以下の栄養素が豊富に含まれています。
- 食物繊維(100gあたり62g):便通を整え、体内の毒素排出を助ける。
- クロロフィル(100gあたり364mg):血液を浄化し、体内の毒素を吸着して排出する。
- カリウム(100gあたり240mg):利尿作用で、老廃物のデトックスを促進する。
- ケイ素(100gあたり1.790mg):肌の健康や骨の強化に役立つ。
- ベータカロテン(100gあたり15μg):視力や皮膚、免疫機能の向上に寄与する。
マコモダケには土壌や水質を浄化する作用もあるので、人間や動物たちの住む環境改善にも役立つありがたい植物です。
人体にも環境にもメリットのある「マコモダケ」を、新たなヴィーガン食材としてぜひ取り入れてみてください。
これからも、さまざまな「簡単に作れるヴィーガンレシピ」をご紹介していきますので、『菜食双子』にまた遊びに来てくださいね。
マコモダケの外皮は、干して乾煎りして煮出すとお茶になるよ。香ばしい畳のような味だけど、血液浄化作用もあるからぜひ試してみてね!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。