【FAQ】ヴィーガン歴15年以上が、よくある質問に答えてみた

半分に切られたアボカドが黒いテーブルの上に置かれている

最近はヴィーガンという言葉が、あちこちで聞かれるようになりました。しかしヴィーガンの本質までは知られておらず、ヴィーガンの不可思議な言動を見ていると、人はどうしてもいろいろと質問したくなるようです。

双子も長いヴィーガン生活の中で、本記事でご紹介するような質問を何十回何百回と受けてきました。もしあなたがヴィーガンになる予定があるならば、これらの質問は必ず聞かれると思います。

そこで今までに受けた質問への双子の回答を、一度まとめて書き出してみようと思いました。ヴィーガンという奇妙な生き方に興味がある方にも、ヴィーガン初心者の方にも、お役に立てば嬉しいです。

本日はヴィーガン歴15年以上の双子が、「ヴィーガンがよく聞かれる21個の質問」について詳しく回答いたします。

この記事を書いた人
菜食双子
双子
  • 料理人
  • ヴィーガン歴15年以上
  • NZ国立Toi Ohomai工科大学とWaikato工科大学で2年間料理を学び、同国のレストランで4年間修業
目次

質問① そもそもヴィーガンって、どんな人たちなの?

動物の権利抗議デモで拡声器でシュプレヒコールを上げるヴィーガン活動家の女性

A:ヴィーガンは、「動物搾取の廃止」と「動物の解放」を目指す社会運動家です。

ヴィーガンは、何を食べるか、何を着るか、どの化粧品を使うか、どの日用品を使うか、どんな娯楽を楽しむかなど、すべての生活行動において「動物搾取に加担しないように」気をつけながら暮らしています

ヴィーガンが食べるものは「植物性食品(野菜、果物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、穀物、海藻、きのこなど)」で、食べないものは「動物性食品(肉、魚介類、卵、乳製品、ハチミツ、昆虫など)」です。

動物の素材(革、毛皮、ウール、ダウン、スウェード、シルクなど)を使った衣料品、動物由来成分(ケラチン、ラノリン、プラセンタ、コラーゲン、パール、ムスク、蜜蝋など)が含まれた化粧品や日用品、動物実験をおこなった商品は使用しません。

動物を使った娯楽施設(動物園、水族館、サーカス、乗馬、競馬、ふれあい牧場など)にも行きません。

ヴィーガンという用語は、動物性食品を食べない人と説明されていますが、実際には動物の権利を求め、動物搾取の廃止と動物の解放をめざす社会運動家のことを指しています。

ヴィーガンについてさらに知りたい方は、『ヴィーガニズムとは究極の平等思想、ヴィーガンとはその思想を実践する人』で詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

質問② ヴィーガンは植物を殺して食べてるけど、それはいいの?植物も痛みを感じてるんじゃないの?

刺殺されて横たわるじゃが芋とそれを見て驚くもう一つのじゃが芋

A:確かに植物も収穫される時に特殊な音を出したり、青々しい匂いの避難信号を出したり、光合成などの刺激に対して反応したりするといわれています。

しかし植物には、人間や動物や魚にはある「中枢神経系、痛みの受容器、神経終末(神経細胞体から伸びた軸索の末端部分)」がありません。

そのため植物は動物や魚のように、痛みや苦しみ、精神的苦痛を感じることはできないのです。

したがって植物を「殺して」食べることは、動物を「殺して」食べることとは違い、非倫理的なことではないと言えます。

動物には人間と同じく脳や中枢神経があります。そのため痛みや苦しみを感じるメカニズムが備わっています。

動物たちが屠殺場で殺される時、痛みや苦しみに耐えられず泣き叫んだり、恐怖から逃れようと暴れたりするのは、彼らが肉体的・精神的苦痛を体験しているという証拠です。

ペットを飼っている方はご存じかと思いますが、動物たちは嬉しいとき、怒っているとき、悲しいとき、痛いときなど、はっきりそれとわかる表情をします。動物の感情表現は人間のものと何ら変わりはありません。

屠殺場(食肉処理場)が人目につかないところに建てられている理由は、動物が血を流して屠殺されるところを誰も見たくないからです。

では、なぜ人々は動物が殺されるところを見たくないのでしょうか?

それは、動物たちの苦しみが分かるからです。助けを求めて泣き叫ぶ動物たちの姿を見ると良心が痛むからです。罪悪感を感じるからです。人は皆、動物は人間と同じく痛みや苦しみを感じることができる存在だと知っているのです。

反対に、畑から人参や大根を引っこ抜く行為や、バジルやタイムなどのハーブを摘む行為、樹からリンゴや梨をもぎ取る行為を見ても何とも思わないのは、植物が動物とは同じ痛みの感覚を持っていないと知っているからです。

ヴィーガンが植物を「殺している」ことを非難する肉食の人たちは、実は間接的にヴィーガンの10倍も多くの植物を「殺している」という事実があります。

食用のために飼育される家畜は、ヴィーガンの10倍の量の植物を食べます。10倍多く植物を食べて育った家畜の肉や乳製品を食べるということは、食べた人は必然的に「ヴィーガンの10倍多く植物を殺した」ことになります。

1kgの牛肉を生産するには25kgの植物、1kgの豚肉を生産するには9kgの植物、1kgの鶏肉を生産するには3kgの植物が必要です。

もし本当に植物の痛みを憂うなら、肉食の人たちが真っ先に動物性食品を食べるのをやめなければなりません。

また穀物や豆類を収穫するときに、畑に住んでいる小動物が機械に巻き込まれて殺されることを取り上げて、「ヴィーガンは肉食者の何倍も動物を殺しているじゃないか!」と責めてくる人がいます。

しかし先ほども述べたように、食用のために飼育される家畜はヴィーガンよりも10倍多くの植物を食べるため、10倍多くの植物が収穫されているのです。

つまり肉食の人たちは間接的に、ヴィーガンの10倍も多くの小動物を殺していることになります。

もし本当に収穫時に殺されてしまう小動物のことを思うなら、肉食の人たちが誰よりも先に動物性食品を食べるのをやめなければならないのです。

質問③ ヴィーガンは動物だけ救えればいいの?飢餓や貧困に苦しむ人間のことは救おうと思わないの?

発展途上国の人々が水を汲むために一列になって歩いている風景

A:世界の飢餓の原因の一つは、途上国での畜産動物の飼育と飼料作物の栽培です。

動物性食品を食べないヴィーガンは動物に対してだけでなく、世界中の人類の飢餓ゼロ運動にも貢献しています。

発展途上国の飢餓撲滅のために寄付するなどの慈善活動をしている肉食の方には酷な話ですが、動物性食品を食べるという選択が、途上国の環境を破壊し、貧困や飢餓で苦しむ人々を作り出す一因になっているという事実があります。

先進国の巨大家畜産業は発展途上国に広大な土地を買い、広範囲の森林を伐採し、焼き畑農法を行い、そこに家畜を過剰に放牧させています。そのため土壌が劣化して砂漠化したり、家畜から出る莫大な量の糞尿による水質汚染や大気汚染が発生したりしています。

畜産には膨大な量の水が必要なため、淡水の枯渇も起こっています。

さらに巨大家畜産業は途上国の森林を伐採したところに巨大農場も作り、家畜の飼料用の穀物や豆やトウモロコシを栽培しています。収穫されたものは先進国に輸出され、肉や卵や乳製品を生産する家畜の飼料として使われます。

世界中で栽培されている家畜用の飼料作物をすべて人間が食べられる作物に切り替えたら、約100億人を養うことができ、飢餓問題は解決するだろうと言われています。

つまり、日本を含む先進国の人々の肉、卵、乳製品への渇望が、途上国の大地を汚染し、人々から食糧を奪い、飢餓を作り出しているのです。そしてそれは、肉や卵や乳製品を食べるのをやめない限り続きます。

家畜産業が環境問題や飢餓問題に直接つながっていることが世間に知られていないのは、業界が上手く隠しているからです。

片方で環境保全や飢餓撲滅を謳っておきながら、もう片方では肉や卵や乳製品を食べて家畜産業を支持するという「人々の行動の矛盾」が世の中を狂わせ、環境破壊や飢餓問題を作り出しているのです。

ヴィーガニズムは、破壊された自然環境や生態系をもとに戻し、人間が消費できる資源を解放し、より持続可能で公平な食糧システムを促進することで、世界の飢餓や貧困の撲滅に貢献する思想です。

ヴィーガンは動物と人間、両方を救う生き方なのです。

質問④ 自然界では動物が動物を食べているんだから、人間も動物を食べるのが普通なんじゃないの?

大草原に座り狩りで仕留めたシマウマを食べている雌ライオン

A:もし「自然界の肉食動物たちがやっていることを人間もやるのが普通」というならば、人間は服を脱ぎ、文明の利器を捨て、雨ざらしの草原に住み、過酷な狩りで仕留めた獲物を生で食べ、固い岩や土の上で自然の脅威にさらされながら眠り、群れを襲う敵と戦わなければなりません。

自然界の肉食動物がやっているこれらのことをできないならば、肉食動物の食習慣だけを都合よく切り取って、「肉食動物は動物を食べるのだから、人間も動物を食べるのが普通」とは言えないのです。

確かに自然界では動物が他の動物を殺して食べますが、人間が食用のために動物を殺すのと、自然界で動物が生きるために動物を殺すのとでは意味が違います

肉食動物が他の動物を食べる理由は「食べないと死んでしまうから」です。肉食動物は、植物を食べて生きることはできません。

一方で人間は、体に必要な栄養素を植物から十分に得ることができ、他の動物を食べなくても死んだりはしません。

つまり、人間には食の選択肢があり、肉食動物には食の選択肢がないということです。

人間は他の動物を「嗜好品として食べている」のに対し、肉食動物は他の動物を「生きるために食べている」のです。

また、自然界で肉食動物が他の動物を食べても、環境破壊は起こりません。

しかし人間に肉を供給する食肉産業は、森林破壊、水質汚染、大気汚染、土壌劣化、淡水の枯渇、パンデミック、抗生物質耐性など、数多くの環境破壊や健康被害を引き起こしています

「自然界の肉食動物がやっているように人間もやる」のならば、食肉を生産するときに環境破壊を起こさないようにしなければなりません。しかし残念ながら、それは不可能です。

自然界の肉食動物のように生きることもできず、環境を破壊しないように肉を手に入れることもできないならば、「自然界では動物が動物を食べてるから、人間も動物を食べるのが普通」とは言えないのです。

質問⑤ 人間にも肉食動物のような犬歯があるんだから、人間は肉食でしょ?

肉食動物の犬歯と人間の犬歯の画像

A:単孔類(カモノハシ、ハリモグラ)、外生類(アルマジロ、アリクイ、ナマケモノ)、センザンコウ、クジラ目(クジラ、イルカ、シャチ)など一部の哺乳類に犬歯はありませんが、それ以外のすべての哺乳類には犬歯があります

もちろん草食動物にも犬歯はあるので、「犬歯があるから肉食動物だ」と結論付けることはできません。

もし「肉食動物のような犬歯があるから人間は肉食」というのが本当ならば、人間の体の構造は肉食動物に似てなければなりません。しかし人間の解剖学的構造は、肉食動物ではなく草食動物の方に似ています。

以下の、肉食動物と草食動物を比較した表で、草食動物の身体的特徴に人間の特徴を当てはめて確認してみてください。

肉食動物身体的特徴
頭の大きさに比べて大きい
鋭く尖った歯
顎関節上下にしか動かない
顎の強度強い
薄い
口内の消化酵素なし
咀嚼丸飲み
食道広い
胃袋大きい(消化器系の60~70%)
胃の酸度強い(pH1)
小腸の長さ短い(体長の3~6倍)
食事回数週1回
ビタミンC体内で合成できる
鋭いかぎ爪
草食動物身体的特徴
頭の大きさに比べて小さい
平たい臼歯
顎関節上下左右に動く
顎の強度弱い
分厚い筋肉質
口内の消化酵素あり
咀嚼よく噛む
食道狭い
胃袋小さい(消化器系の30%未満)
胃の酸度弱い(pH 4~5)
小腸の長さ長い(体長の10~12倍)
食事回数一日中
ビタミンC植物から摂る
硬くて丸い

人間と肉食動物に、共通項が何一つとしてないことがお分かりいただけると思います。

人間は草食動物ではなくて「雑食動物」と言う人もいます。しかし雑食動物(熊、アライグマ、コヨーテなど)は、身体的特徴も肉食動物とほぼ同じですし、解剖学的にもほとんど肉食動物です。

人間を含む全ての草食動物が、動物性タンパク質を消化吸収できるのは事実です。しかしこれは、動物性タンパク質を「食べることが可能」なだけであって、草食動物にとって「最適な食物」なわけではありません

現に肉食動物や雑食動物は、健康に何の問題も起こさずに、高脂肪で高コレステロールの動物の肉を食べることができます。しかし人間や草食動物が高脂肪で高コレステロールの動物性食品を食べると、アテローム性動脈硬化症(動脈壁内にコレステロールなどの脂肪が蓄積して血管の流れが悪くなる)を引き起こす可能性があります。

これらすべてのことから、「人間は肉食ではなく草食」と言うことができるのです。

質問⑥ ヴィーガンはどうしてウール製品を着ないの?

毛刈りのためにトラックに押し込まれる羊の群れ

A:ウールが残酷な過程を経て生産される製品だからです。

ウール生産用の羊(特にメリノ種)は、1匹からより多くの羊毛が採れるように、皮膚が折り重なった「シワの多い羊」に品種改良されています。

このだぶついた皮膚のせいで、おしり周りのシワに糞がたまります。そこに蠅が卵を産み付け、孵化したウジが羊の筋肉組織の奥深くまで食い尽くす「蝿蛆症(ようそしょう)」が発生します。これに感染した羊のほとんどは助からず、痛みにもだえ苦しみ、震えながら死んでゆきます。

羊毛農家はこの「蝿蛆症」を回避するため、まだ子羊のうちに「ミュールジング(肛門周りの肉を、麻酔なしにナイフでそぎ落とす行為)」を行います。えぐられた傷の処置がされることはなく、血だらけのまま放置され、この傷が原因で死亡する子羊もたくさんいます。

成長した羊の毛刈りを行うときは、前日から水も飼料も与えずに羊を衰弱させ、毛刈り時にあまり動かないようにしておきます。それでも暴れる羊には、殴る蹴るの暴行を加えて大人しくさせます。

羊の毛刈りは速度が重要視されているので、乱暴に押さえつけて勢いよくバリカンで刈ります。そのため羊毛と一緒に皮膚までそぎ落とされたり、骨を折られて死亡したりします。

この蛮行が、毎年行われるのです。

毛刈りは寒い時期から始まるので、羊たちは裸の状態で極寒の冬を過ごさなければならず、凍死する羊もたくさんいます。

そんな劣悪な環境を生き抜いても、3年くらい経って毛が薄くなってきたら「廃棄羊」として屠殺され、食肉として売られてゆきます。

また、このような「廃棄羊」は生きたまま船に積み込まれて中東やアフリカに輸出され、その地域の各宗教の「生贄儀式」に使用されて殺されます。

ウールの商品を買う人や、毛糸でセーターやマフラーを作る人、フェルトで雑貨を作る人には、ぜひこれらのことを覚えておいて欲しいと思います。

人間には必要のない「羊毛(ウール)」を欲しがるおかげで、ウール用に品種改良された羊たちが虐待を受けながら毛を刈られ、最後には殺されて食卓に上るか、宗教儀式の生贄として殺されるということを。

毛糸から動物虐待を想像することはなかなかできません。人間の髪の毛を切るのと同じようなイメージがあるからです。

ほかに山のように着る衣服があるのに、羊の悲しみ苦しみから生まれた残酷なウールを、わざわざ身にまとう必要はないのです。

以下のリストは、「動物を苦しめて生産する素材」です。ヴィーガンはこれらを使用した衣料品も避けます。素材名をクリックすると、残酷な生産方法を解説した動画付きの記事(by PETA)に飛びますので、ぜひ併せてご確認ください。*表示に少し時間がかかる場合があります。

質問⑦ ヴィーガンはどうして動物園や水族館やサーカスに行かないの?

動物園や水族館で使役される動物たちの画像

A:動物園、水族館、サーカスなどの動物たちは、故郷から誘拐され、広大な自然界とは真逆の狭い檻や小さなプールに幽閉されて、芸を強要されたり、見世物にされたりしています。

これらの娯楽施設にお金を払って見に行くという行為は、動物に対する虐待や蛮行を支持していることになります。

よってヴィーガンは、動物を使った娯楽を完全に拒否するのです。

一般の人からすれば、動物園も水族館もサーカスも、楽しい教育の場に見えるでしょう。見たこともない動物や海洋動物を間近で見られる機会はそうそうないからです。

しかしそこに幽閉されている動物たちは、みな自然界から誘拐されてきた動物たちです。家族や仲間から引き離され、人間の娯楽欲を満たすためだけに連れてこられました。

誘拐されてきた動物たちはそこで無理やり繁殖させられ、その子供たちも同じ運命をたどることになります。

サーカスの動物やマリンパークの海洋動物は、芸をしなければ餌を貰えません。調教師に酷い虐待を受けながら、自然界ではありえない体制や行動をとらされ、初めて食べ物にありつけるのです。

本来大海原を自由に回遊する海洋動物や、大自然で悠々と闊歩する野生動物が、コンクリートで作られた小さなプールや体を動かせないほどの狭い檻に入れられ、死んだ餌を与えられ、動きを制限されることで精神が崩壊します。

娯楽施設で飼育される動物たちの行動に異常性が見られるのはそのためです。

イルカやシャチのショー、ライオンの火の輪くぐり、象の玉乗り、熊の自転車乗り、猿回しなどの芸は、動物虐待以外の何ものでもありません

このような施設にお金を落とすことで、これらの業界を経済的にサポートすることになります。人々が動物園・水族館・サーカスなどの、動物を使った娯楽施設に行き続ける限り、動物や海洋動物の誘拐犯罪や動物虐待がなくなることはないでしょう。

ヴィーガンはこれからも地道に「動物を使った娯楽施設」に反対し続け、いつの日かこれらの施設がすべて廃止されることを願っています。

質問⑧ グラスフェッドの肉や乳製品、放し飼いの卵、天然魚を食べるのは倫理的にOKでしょ?

放牧牛、平飼い鶏、天然魚の画像

A:次の文章を読んでみてください。

ある「子供」は、産まれてからずっと美味しいものを与えられ、気持ちよい寝床で眠り、広い場所で自由に遊びながら幸せに暮らしていましたが、あるとき突然その「子供」はどこかに連れて行かれ、無残にも殺されてしまいました。

さてこれを読んでみて、「それまでいい暮らしをしたんだから、殺されてもいいじゃないか」と思いましたか?

それでは、この文章の「子供」の箇所を、グラスフェッドの畜産動物、放し飼いの採卵鶏、天然の魚に置き換えて読んでみてください。

今度はどう感じたでしょうか?

確かに広々とした牧場でのんびりと草を食んでいる動物たちや、海や川を自由に泳ぎ回る魚たちの生活環境は、工場畜産の動物や養殖場の魚とは比べ物にならないでしょう。しかしそれが「生きたいと願う動物たちを殺しても良い」理由にはなりません

また、「グラスフェッド(牧草飼育)」「放し飼い」の名称は、動物に配慮しているように聞こえますが、本当にそれらの飼育方法で飼育しているかどうかを審査する機関はありません。違反したときの罰則もないため、実際は工場畜産や鶏卵工場よりほんの少し広い場所で飼育しているだけ、という詐欺まがいの業者もたくさん存在しています。

つまり「グラスフェッド」や「放し飼い」の名称に信憑性はなく、ただ消費者に「自分は人道的に扱われた家畜を食べている、自分は非倫理的なことはしていない」と安心させるためのマーケティング用語でしかないのです。

そして強調すべきは、工場畜産であれ牧草飼育であれ、鶏卵工場であれ放し飼いであれ、養殖場であれ天然ものであれ、「最後はまったく同じ方法で殺される」ということです。

「生きたいと願う命を無理やり奪う行為」は、どんな飼育過程を経たにせよ「倫理的にOK」ではないのです。

質問⑨ 人道的に屠殺すればいいんじゃないの?

暗闇の中からこちらに向けられた銃口の画像

A:人道的とは「人として守り行うべき道にかなうさま」のことです。生きたいと望むものの命を無理やり奪うことが「人として守り行うべき」ことでしょうか?

この世に「人道的な屠殺」などありません

人道的な屠殺(humane slaughter)の定義は、次のようになっています。

  • 動物が瞬時に殺されるか、死に至るまで痛みや苦しみなどの感覚を失った状態にすること。
  • 屠殺する(血を流す)前に動物を気絶させ、完全に意識を失わせておくこと。

実際に屠殺場で行われている「人道的な屠殺の方法」とは、

  • ボルトピストルで頭を撃ち抜く
  • 電流を流す
  • ガス室に入れる

のいずれかで意識を失わせたあとに、喉をかき切るというやり方です。

しかし、ピストルや電流やガスを使っても動物たちを完全に気絶させることは難しく、動物たちはまだ意識がはっきりした状態で喉をかき切られるため、命が尽きるまでもがき苦しまなければならないのです。

この行為が「人道的」なわけがありません

100歩譲って人道的な屠殺が存在するとしても、地獄のような飼育環境で育てられた動物たちに与えられる唯一の「人道的」な処置が「屠殺」とは、どんな冗談でしょうか。

結局のところ「人道的屠殺」という言葉も、「グラスフェッド」や「放し飼い」と同じくマーケティング用語であり、肉食をする人たちに「私は苦しまずに死んだ動物を食べている、私は非人道的なことはしていない」という安心感を与えるためのものです。

最近はヴィーガン活動家の暴露により、今まで隠し通してきた動物搾取産業の残酷さが公にされてしまい、それを払しょくするために企業は「人道的」という言葉を大々的にアピールしています。

しかし、いくら「人道的」という穏やかな言葉を「屠殺」という残酷な言葉に付け足したとしても、「生きたいと望むものの命を奪う行為」を正当化することはできないのです。

「人道的」という言葉に隠された闇は、こちらの記事の動画集でご確認ください。

「人道的な屠殺」がどんなものか詳しくお調べになりたい方は、『観たら元の自分には戻れない|ヴィーガンドキュメンタリー映画17選』でご紹介している、「動物搾取の現状を暴露したドキュメンタリー動画」をご覧ください。

質問⑩ 牛乳や卵は動物を殺してないのに、なんでダメなの?

乳牛と採卵鶏の飼育風景

A:乳牛や採卵鶏は、搾乳できる期間や産卵できる期間に殺されないだけで、乳牛なら3~5年、採卵鶏なら1.8~2年で処分されます。

酪農と鶏卵は、動物搾取産業の中で「最も残酷な業界」と言われています。

乳製品や卵を食べる人たち(特にベジタリアン)は、「自分は動物の殺害には加担していない」と信じています。牛乳も卵も動物を殺さずに生産できるからだそうです。

しかし現実は、そう甘くはありません

牛乳の生産方法

驚くことに、たくさんの人が「乳牛は自然に乳を出す生きもの」だと思っています。ですが牛も人間と同じ哺乳類です。哺乳類が乳を出す理由は一つしかありません。

妊娠して子を産んだときです

では、なぜ乳牛が「乳を出す生きもの」と勘違いされるほど常に乳を出しているのか、その理由と方法を以下に簡単に説明します。

【酪農場での乳牛の一生】

まず酪農家は、機械または手で強制的に雄牛を射精させ、精液を確保します。

次に雌牛を「レイプラック(強姦枠)」と呼ばれる枠で固定し、雄牛の精液を入れた注射器を持った手を雌牛の膣に押し込んで人工的にレイプし、授精させます。

雌牛は9か月後に出産します。ちなみに、雌牛の妊娠周期は人間と同じ9ヶ月で、出産してから10ヶ月間乳を出します。

出産すると同時に、子牛は農場労働者によって連れ去らわれます。

母牛はそれから毎日、人間が消費する「牛乳」を生産するために搾乳され続けます。

母牛は出産の1~2か月後に、乳量を増やすために再び人工的にレイプされ、妊娠させられます。

そしてこのサイクルが、母牛が乳房炎などの病気になり、衰弱して乳の出が悪くなって屠殺される日まで、永遠と繰り返し行われるのです。

乳牛は生きている間ずっと妊娠させられているので、屠殺場でお腹を割いたときには、もれなく牛の胎児が出てきます。

【産まれた子牛が雌の場合】

産まれた子牛が雌ならば、母牛と同じく乳牛にするために調合ミルクで育て、生後15ヶ月になったら母牛と同じように人工的にレイプされて妊娠させられます。

その後は母牛と同じく「乳牛」として3~5年生き、病死または屠殺でこの世を去ります。

【産まれた子牛が雄の場合】

産まれた子牛が雄ならば、まだへその緒がついた状態で頭を撃ち抜かれるか、喉をナイフで切り裂かれるかして殺され、「臭みの少ない仔牛の肉」として売られてゆきます。

または、肉の柔らかさを保つために(筋肉が使えないように)身動きの取れない檻に入れ、肉の色を白くするためにわざと鉄分を除いて貧血になるように調合したミルクで数週間育てたあと、「ミルクの香りのする仔牛の肉」として販売します。

そのほかにも、雄の子牛はチーズの凝固剤として使われる「レンネット(乳離れしていない子牛の第4胃袋の消化液。母乳を消化するための酵素)」を採るためにも使われます。

雄の子牛の何頭かは酪農場に残され、思春期を迎えると農場労働者によって射精させられ、精液を採取されます。そして用が済むと屠殺されて安価な肉として売られます。この精液は、乳牛を妊娠させるために使用されます。

通常であれば牛の寿命は20~25年ですが、繰り返される妊娠と出産で乳牛の体は衰弱し、3~5年で死亡します。

病死せずとも乳牛の乳量が減るとすぐに屠殺場へ送られるのですが、疲れ果てた乳牛は最後自力で歩くこともできず、引きずられながらトラックへ積み込まれます。

自然界の母牛が子牛のために一回に出す母乳の量は最大で2リットルです。しかし酪農家は乳牛に成長ホルモン剤を打って乳の出を促進するので、一回の搾乳で26リットルもの乳を出します。

そのため乳牛の乳房は、床につくほど異常に肥大しています。この不自然な大きさと重さにより乳牛の足の関節はダメージを受け、歩行が困難になります。毎日の過剰な搾乳のせいで、ほとんどの乳牛は激痛を伴なう乳房炎を発症しており、それが原因で死亡する場合もあります。

売られている牛乳に一定量の膿や血液が混ざっているのは、炎症を起こした乳房から排出されたものが一緒に搾乳されているからです。

人間の母乳は人間の赤ちゃんに与えるために母親が作り出します。サルの母乳はサルの赤ちゃんに、ネズミの母乳はネズミの赤ちゃんに、猫の母乳は猫の赤ちゃんに、犬の母乳は犬の赤ちゃんに、それぞれ与えるために母親が作り出したものです。

どんな哺乳類も乳を飲むのは赤ちゃんの時期だけで、それ以降乳を飲む哺乳類はいません。

しかし人間だけがいつまで経っても乳離れできず、人間の女性の母乳が手に入らないので他の種族の雌を妊娠させ、子を殺して乳を奪って飲んでいるのです。

酪農場の乳牛と子牛が辿る残酷な一生についてさらに知りたい方は、『ヴィーガンが乳製品を食べない理由|雌牛と子牛を酪農という地獄から救うため』で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

卵の生産方法

卵を産むために品種改良された雌の鶏「採卵鶏(さいらんけい)」も、乳牛と同じくらい悲惨な人生を送ります。

鶏卵工場で飼育される採卵鶏の一生も、以下に簡単にご紹介します。

鶏卵の孵化工場で卵が孵化すると、すぐにひよこの性別を見分ける「雌雄鑑別士(ひよこ鑑定士)」によって、雌雄をより分けられます。

【孵化したのが雌ひよこの場合】

ひよこが雌ならば、まず採卵鶏にするための準備として、熱した切断機でくちばしを切り落とします

採卵鶏は小さなケージに押し込まれて飼育されるため、ストレスでお互いをつつき合って傷を負わないために、くちばしの除去がおこなわれるのです。

ひよこのくちばしには多くの神経が通っており、感覚受容体を含む特殊な器官のため、除去されるとくちばしの感覚と機能が失われてしまいます。この処置の最中に死んでしまうひよこもいます。

こうして雌のひよこは採卵鶏として育てられ、16~18週間経つと卵を産み始めます

採卵鶏は毎日卵を産むように品種改良されているため、骨粗鬆症(卵殻の異常産生)からくる骨折、過剰な子宮収縮からくる子宮脱、卵巣癌などのさまざまな病気に苦しめられています。

採卵鶏は身動きの取れない狭い(B5用紙よりも小さい)ケージの中で、自らの排せつ物にまみれながら卵を産む機械として2年ほど酷使され、最後はケージで病死するか、廃鶏として処分されるか、または屠殺場に送られて肉にされます。

【孵化したのが雄ひよこの場合】

雄のひよこは鶏卵業界では無価値なため、孵化してすぐに以下の方法で処分されます。

  • 生きたまま粉砕機に投げ込んでミンチにする。
  • 生きたままビニール袋に入れて窒息死させる。
  • 生きたまま焼却炉に投げ込んで焼き殺す。
  • 生きたままガス室に入れて毒殺する。

こちらの動画では、雄のひよこの処分映像がご覧いただけます。

採卵鶏の先祖に当たる赤色野鶏の雌は、年に10~15個の卵しか産みません。つまり、自然界の雌鶏は1か月に1度しか卵を産まないのです。卵が人間の女性の生理と同じと言われるのは、これが理由です。

しかし鶏卵工場の採卵鶏は、年に300個以上(1日に1個のペース)もの卵を産むように品種改良されています。

自然界の鶏の寿命は10年ですが、採卵鶏の場合は病死か屠殺によって2年で命を終えます。こうして世界中では毎年数十億羽の雌鶏が、鶏卵工場の犠牲になっているのです。

【鶏の屠殺方法】

どんな屠殺方法も残酷ですが日本はその中でもダントツで、「鶏を生きたまま逆さ吊りにして、意識があるまま首を切ってから熱湯でゆでる」というやり方が採用されており、これはEUでは禁止されています。しかもちゃんと首が切れていない場合が多く、鶏たちは意識がはっきりしている状態で生きたまま茹でられ、苦しみに喘ぎながら窒息死しています。

ちなみに海外で用いられているのは「ライブ・シャックル(束縛屠殺)」という屠殺方法で、「鶏を生きたまま逆さ吊りにし、通電したプールの水に鶏の頭を浸けて気を失わせてから首を切る」というやり方です。しかし気も失わず、首も切られてない鶏が結構な数存在し、まだ意識のある状態で熱湯で茹でられて、パニックになりながら窒息死しています。

採卵鶏の体は消耗しきっていて食肉としては売れないため、加工食品、スープの素、ダシ、ペットフードなどに使用されます。

一生日光を浴びることなく過ごす雌鶏が日の光を見られるのは、屠殺場行きのトラックへ積み込まれる一瞬だけです。

雌牛も雌鶏も、死によってしかこの残酷なループから逃れることはできません。死が慰めになるとは、なんと悲惨な一生でしょうか。

「牛乳や卵は動物を殺してないから倫理的に大丈夫」なわけがありません。酪農場と鶏卵工場と食肉産業はすべて繋がっています。

食肉は「すでに殺された動物から得たもの」ですが、牛乳や卵は「これから殺される動物から得たもの」なのです。

採卵鶏と雄ひよこの悲惨な一生についてさらに知りたい方は、『ヴィーガンが卵を食べない理由|雌鶏を檻から解放し、雄ひよこを粉砕機から救うため』で詳しく説明していますので、ぜひ併せてご一読ください。

質問⑪ ヴィーガンとベジタリアンって違うの?

「動物を食べるのをやめて!」の標識とカップに入った牛乳と卵2個の画像

A:まったく違います。

ヴィーガンは肉、魚介類、卵、乳製品、ハチミツなどの動物性食品を一切食べないだけでなく、生活のすべて(衣料品、コスメ、娯楽など)から動物搾取を排除することを目指しています。ヴィーガンになる最大の目的は動物の権利を護ることであり、「動物搾取の廃止」と「動物の解放」を目標にしています。

ベジタリアンは肉と魚介類は食べませんが、卵、乳製品、ハチミツは食べます。ベジタリアンになる目的は、健康の改善や宗教の戒律のためであり、動物搾取を避ける生き方や動物の解放は目指していません。

ヴィーガンとベジタリアンでは、価値観や生き方に大きな違いがあります。

ヴィーガンは、動物由来の素材で作られた衣類、動物実験をした化粧品や日用品、動物を使った娯楽施設などはすべて避けます。

一方ベジタリアンは、上記のものをすべて使用・利用します。

ベジタリアンをはじめとする植物主体の食事法とヴィーガンとの違いは、『ヴィーガンと植物主体の食事(プラントベース・ベジタリアン・マクロビ・精進料理)の違い』で詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

質問⑫ ヴィーガンは植物だけ食べていて栄養不足にならないの?

新鮮な野菜や果物が山のように積まれた八百屋の風景

A:植物だけ食べていても栄養不足にはなりません。

人間の体に必要な栄養素や必須アミノ酸は、すべて植物から摂取出来ます。

植物100%の完全菜食は、世界各国の栄養士協会にも認められた健康的な食事法です。

*ただし、ビタミンB12だけはサプリでの摂取が必要です。

世間一般的に「栄養価が高い食べもの」と言えば、肉や魚、卵や乳製品などの動物性食品とされ、野菜や豆などの植物は、それらに比べると栄養価が低いと思われています。

そのため、「植物しか食べないヴィーガンは栄養不足になるはずだ」という偏見があるのです。

確かにジャンクな食生活をしているヴィーガンならば、栄養不足になる可能性はあります。

しかし、完全菜食を啓蒙している医師や栄養士によって奨励されているヴィーガン食は、「野菜、果物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、穀物、海藻、きのこ」などをバランスよく食べる、ホールフードのヴィーガン食と呼ばれるものです。

これらの食材には動物性食品に負けないほど、むしろそれ以上の栄養素(ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、植物化合物、アミノ酸など)がたっぷりと含まれており、毎日いろいろな種類の植物性食品を摂取していれば、栄養不足になることは決してありません

米国栄養士協会The American Dietetic Association)は次のように説明しています。

適切に計画された菜食主義者の食事は、健康的で栄養的に十分であり、特定の病気の予防と治療に貢献する。

また、きちんと計画された菜食主義者の食事は、妊娠期、授乳期、乳児期、小児期、青年期、アスリートなど、すべてのステージの人に適している。

米国栄養士協会

その他の栄養士協会や健康維持機構も、ホールフードのヴィーガン食について肯定的な意見を述べています。

ヴィーガンに必要な栄養素についてさらに知りたい方は、『ヴィーガン初心者必見!栄養失調にならないための必須栄養素8選』で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

質問⑬ みんなが肉や乳製品を食べるのをやめたら畜産も酪農もなくなって、家畜動物は絶滅しちゃうんじゃないの?

美しい青空と家畜が一匹もいない牧草地

A:現在の家畜動物は品種改良されており、毎年1,200億匹もの「改良動物」が人工授精で繁殖させられています。

もし動物性食品の需要がなくなれば人工繁殖は終了するので、不自然に改良された家畜動物はだんだんと減少し、最後には絶滅します。

しかしそれは悪いことではありません。もともといなかったものがいなくなり、元に戻るだけだからです。

現代の畜産や酪農で繁殖させられているのは、家畜産業の都合を満たすために改造された奇形種で、自然界には存在していない動物たちです。

動物性食品の需要がなくなって絶滅するのは、これらの「不自然に改良された動物たち」です。例えば、1度に26リットルもの乳を出す乳牛や、1年に300個以上の卵を産む採卵鶏、自分の体重で足が折れてしまうほど急速に太るブロイラーの鶏のような、人間のエゴによって改造された奇形種がこの世から消えていくのです。

在来種の動物たちのことは心配ありません。野生の動物たちが猟師の放つ銃弾や仕掛けられた罠から解放されれば、自然の中で本能に従って増えたり減ったりするからです。

地球上に存在する哺乳類の60%が家畜で、36%が人間、そしてたった4%が野生の動物です。家畜動物が絶滅してこの比率が変化することで、健全な地球に戻すことができるのです。

質問⑭ もし無人島に漂着して食べ物が何もなかったら、島にいる動物を殺して食べる?

無人島に漂着して食べ物なかったら動物食べるの?

A:食べません。

自分たちの信念を曲げてまで、生きたいとは思わないからです。

それに島に動物が住んでいるということは何かしらの食べものはあるということなので、食べられる植物を少し分けてもらいます。

こんな非現実的なことを聞いて何がしたいのか分かりませんが、本当によくこの質問をされます。

海外のヴィーガンたちも頻繁にこの質問をされていて、彼らのほとんどは「そのような非常事態になったら、生きるために動物を殺して食べる」と回答しています。

しかし双子は、彼らとはちょっと違う考えを持っています。

もし無人島に漂着してしまい、島のどこを探しても食べられる植物が見つからなかったとしたら、それが運命だと受け入れます。そして自然の美しさを満喫し、感謝しながら最後を迎えます。

どんな境遇にあったとしても、自分たちの命を生き永らえさせるために、動物の命を犠牲にすることはしません。

なぜなら双子にとって、自らの信念を曲げてまで生に執着することは「恥」に当たるからです。

たとえ動物を殺して食べて生き延び、そのあと救助されたとしても、自分の命と引き換えに大切な動物を殺してしまったという自己嫌悪と罪悪感に耐えられず、自ら命を絶つでしょう。

命か信念かと言われたら迷わず「信念」を選び、生きるべき時は生き、死ぬべき時は死ぬこれが本当の義(人としての正しい道)であり勇気というものだと信じています。

双子のこの考え方は海外の人には理解できない、日本人特有のものかもしれません。(もしかしたら、現代の日本人にも理解されないかもしれません。)

質問⑮ ヴィーガンってカルト宗教なの?

ヴィーガンと宗教

A:カルト宗教ではありません。

ヴィーガンの信奉するヴィーガニズムとは、動物の解放を目指し、動物搾取をしない生き方を実践する「哲学思想」です。

何年か前に「ヴィーガンに内緒でチーズを食べさせてみた」や「ヴィーガンの食事に肉を忍ばせてみた」などのいたずらが流行り、「食べさせられたと気づいたヴィーガンの反応を見て人々が笑う」という動画が出回っていました。今も世界のどこかでは、この悪質な「いたずら」が行われていると思います。

このような「いたずら」が簡単にできてしまうのは、人々がヴィーガニズムを真剣に捉えてないからです。

もしこれが「イスラム教徒に豚肉を食べさせてみた」や、「ユダヤ教徒にウナギを食べさせてみた」や、「ヒンドゥー教徒に牛肉を食べさせてみた」のような「いたずら」だったとしたら、犯人は無事では済みません。

ヴィーガニズムが単なる「哲学思想」でいるお陰で、アンチがいくらヴィーガンの尊厳を踏みにじっても、他の宗教のように殺される心配はないのです。

双子は思います。もしヴィーガニズムが本当に「カルト宗教」だったなら、人々はここまで酷いアンチ行為をしてこなかっただろうと。ときどき宗教がうらやましくなるくらいです。

しかし、ヴィーガニズムはこれからもずっと「哲学思想」でい続けます。宗教にはなりません。

なぜならヴィーガニズムは「自分の良心と信念が発端の思想だからです。神の御言葉や宗教指導者の定めた教義に従うのではなく、個人個人が自分で考え、自分の心の声に従って行動するのがヴィーガニズムだからです。

質問⑯ 聖書には動物を食べていいって書いてあるよね?

ページが開かれた聖書

A:確かに聖書には、

地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。

創世記9章2~3節

という聖句があります。

多くの人がこれを指摘して、動物たちを食べることは神から許可されていると言います。しかしこれは、大洪水を生き延びたノアに向けて神が語った言葉です。

実はこれよりも前に、まだ神が天地を創造している最中に、神が自分に似せて造った出来立てホヤホヤの人間を祝福して次のように語っています。

神は言われた。見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べものとなる。地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。

創世記1章29節

つまり神は、人間にも他の生きものにも「植物」を食べ物として与えたということです。神が世界を創ったとき、地球上のすべての人間と動物は「草食」だったのです。

その後、アダムとイブは神から禁止されていた「善悪の知識の実」を食べてしまったことで神の怒りを買い、神の国であるエデンの園を追放されます。

追放先の土地で彼らは子孫を増やしていくのですが、そこにはだんだんと悪が増し、不法に満ち溢れていきます。

人々は悪いことばかりを思い計り、神に人間を造ったことを後悔させるほど堕落の道を歩んでいたので、神は従順なノア一家だけを残してすべての人間を滅ぼしてしまいました。

そして神は、地上で唯一生き残ったノア一家に「動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい」と言ったのです。

ヨハネの第一の手紙15章19節に「この世全体が悪い者の支配下にあるのです」とあります。これは、ノアたちのいる地上は神ではなく「悪魔・サタンが支配している」という意味です。

つまり、神が支配する国の食べものは「植物」で、悪魔が支配する国の食べものは「動物」ということになります。

信心深き人は、死んだあと神の国に入りたいと思っています。その人たちが「今は悪魔が支配する国に住んでいるから」という理由で、わざわざ悪魔の国の食べもの(動物)を好んで食べ、堕落する必要はあるのでしょうか。

死ぬのを待たずとも、生きているうちから神の国の食べもの(植物)を食べることで、より神の国に入りやすくなると思っています。

ちなみに双子は無宗教&無神論者です。

ですが幼稚園の頃から教会に通い、学校もクリスチャンスクールだったので、長年聖書の勉強をしてきました。

しかし聖書の中で神が要求する膨大な数の「動物の生贄」(旧約・レビ記を参照)にずっと疑問を抱いており、生贄の生き血を振りかけて土地や物を清めるというカルト儀式のような行為や、動物を生贄に捧げることで人々の罪が赦されるという「人間中心主義思想(自然も動物も、人間に利用されるために存在するという考え方)」をどうしても受け入れられず、聖書を勉強すればするほど「神という存在」から心が離れていき、最終的に無宗教&無神論者となった次第です。

質問⑰ ヴィーガンだって虫は殺すでしょ?

可愛い小さな黒蟻が白い花の上に座っている

A:殺しません。

家の中に入ってきた虫は外に逃がし、虫が家の中に入らないような対策も講じます。

買ってきた野菜についている虫は庭に逃がします。

虫が気持ち悪いという人は、一度「虫」という生きものをちゃんと観察してみることをおすすめします。小さな体で一生懸命に活動している子たちを見ていると、健気すぎて涙が出てきます。

人々に忌み嫌われているゴキブリも、決して気持ちの悪い生きものではありません。お顔が三角で、身体の光沢が神秘的で、ちょこまか動く可愛らしい虫です。

そんな可愛い虫たちを間違って殺してしまわないために、「虫と遭遇しない対策」として次の6つを実践しています。

1)虫の苦手な香りの精油を染み込ませた木の棒(割りばしでもOK)を家の周りに挿す。香りが薄れてきたら、再び木の棒に精油を垂らす。

使う精油:ペパーミント、レモングラス、レモンユーカリ、タイム、ローズマリーなど

2)庭に虫の苦手な香りを放つハーブを植える。これらはすべて料理に使える。

植えるハーブ:バジル、レモンバーム、ローズマリー、キャットニップ、タイムなど

3)網戸に虫の苦手な香りの精油で作ったスプレーを吹きかけておく。このスプレーはダニ忌避用としても使える。

スプレーの作り方:アルコール対応のスプレーボトルに、無水エタノール小さじ2と精油20滴を入れてよく溶かしたら、1/2カップの精製水を入れてよく振る。

使う精油:ペパーミント、ローズマリー、レモンユーカリなど

4)洋服タンスに、精油を数滴染み込ませたサッシュを入れておく。

使う精油:ラベンダー、ローズマリーなど

5)キッチンのシンク下に、ゴキブリの苦手な香りの精油を染み込ませた石を置いておく。

使う精油:レモングラス、レモンユーカリ、タイムなど

6)夏の家の中では、月桃の葉と香木で作られた蚊取り線香「うる月桃香」を焚く。殺虫成分は無く、優しい香りで目や喉も痛くならないのでおすすめ。

双子の家の庭は広くありませんが、一画は草を刈らず草むらにしてあります。周りのお宅は草を刈ったり除草剤を撒くので、行き場を失った虫たちの避難場所になればいいなと思ってそうしています。

双子はミニマリストなので、家の中にあまりモノがありません。掃除も簡単で風通しもよく、それが理由なのか、一度もゴキブリと遭遇したことがありません。ゴキブリの出没を回避したいなら、ミニマリスト生活はおすすめです。

また、双子がハーブを摘むときなどに庭に出ていても蚊に刺されないのは、動物性食品を一切食べてないので、蚊の好きな体臭がしないからと思っています。

質問⑱ ヴィーガンはサラダしか食べないんでしょ?

ボールいっぱいの瑞々しいレタス

A:そんなことはありません。

ヴィーガン食は、多種多様な植物(野菜、果物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、全粒穀物、海藻、きのこなど)を使って彩り豊かに作られます。

ヴィーガンレシピはアイデアに富み、栄養価が高く、サッパリしたものからコッテリしたものまで、レパートリーは無限にあります。

ヴィーガン食=食事制限というイメージがあるかもしれませんが、ヴィーガン食はダイエットではありません

確かに植物性の食材しか使わないという「素材の制限」はありますが、食べる量の制限はありません。

むしろホールフードのヴィーガン食は、それまでの動物性食品を使った食事よりもカロリーが低いため、カロリー不足で体調を崩さないように、ヴィーガンに移行したら食事量を増やす必要があります。

不思議なことに、ヴィーガンになると健康に気を遣うようになります。栄養学のことを学び始めたり、自然栽培の植物に興味が出てきたりして、結果的に肉食のときよりも健康になる人が多いのです。

世間でよく言われる「肉や乳製品を摂らないと栄養失調で病気になる」という根拠のない噂が、ヴィーガンをより一層勉強に向かわせ、意図せずしてヴィーガンの健康に貢献しているのかもしれません。

ヴィーガンが食べるものをお調べになりたい方は、『【菜食料理人が教える】ヴィーガンが食べられる食材一覧|買い物リスト付き』で詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

質問⑲ ヴィーガンは肉を食べるのを我慢してるんでしょ?

子供が壁の穴の向こうから手を伸ばしている

A:我慢していません。

ヴィーガンに移行して、一度動物たちと心の繋がりを持ってしまったら、もう二度と動物を食べものだとは思わなくなります。

ボールペンや椅子、ペットの犬や猫、隣の家のおじさんを食べたいとは思わないのと同じで、動物たちの肉片や分泌物を食べたいとは思わなくなるのです。

ヴィーガンの90%は、もともと動物性食品を食べていた元肉食者です。ヴィーガンは肉の味や食感が嫌いで肉を食べないわけではありません。

我慢して食べないのではなく、「動物を搾取しないで生きる」という自らの信念に従って、「食べないことを選んでいる」のです。

肉や魚、卵や乳製品の「生産方法」を知ってからというもの、スーパーなどでそれらの動物性食品を見かけると、動物たちの苦しみに喘ぐ顔が頭に浮かぶようになりました。

そして彼らを救えなかった自分たちの無力さに絶望し、心から申し訳なく思うのです。

このような感情を抱きながら、肉などの動物性食品を食べるのを我慢しているわけがありません。

質問⑳ ヴィーガンって食費がかかるんでしょ?

空っぽのお財布を開く男性

A:食べるものによります。

オシャレなヴィーガン雑誌に掲載されているような、スーパーフードや高額サプリメント、オーガニックの加工食品、ローフードのお菓子、酵素スムージー、直輸入の代替えチーズや代替え肉ばかりを選んで食べていたら、もちろん食費はかかります。

しかし一般的なヴィーガンが食べているのは、野菜、果物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、穀物、海藻、きのこなど、ごく普通の食材です。

シンプルな食材を自分で調理して食べれば、食費が高くなることはありません。

「ヴィーガン」が一時期トレンドになり、いろんな企業や店舗がこぞって高価なオーガニックのヴィーガン食品を販売し始めました。そのおかげで「ヴィーガンの食べもの=高額」というイメージが広まってしまったのです。

ヴィーガンの健康維持に、高価なヴィーガン食品など必要ありません

普通の食材(野菜、果物、豆、大豆製品、ナッツ・シード、穀物、海藻、きのこ)を普通に調理して食べていれば、食費もかからず健康も維持できます。

質問㉑ ヴィーガン専用のコスメやシャンプーがあるってホント?

3種類の動物実験フリーの認証マーク

A:本当です。

ヴィーガン専用に作られた「動物実験フリー&動物性原料フリー」のコスメやシャンプーは、さまざまな企業から販売されています。

上の画像にあるウサギマークは「動物実験していない&動物性原料不使用」を証明しており、商品を買うときにこのマークが「ヴィーガン専用の目印」になります。

残念ながら、日本でヴィーガン専用の化粧品や日用品を探すのは難しいですが、海外では多くの企業がヴィーガン専用のものを販売しています。

双子はアメリカの通販サイト「iHerb」、韓国の通販サイト「Qoo10」や「スタイルコリアン」を利用しています。日本語100%対応なので、日本のサイト同様に使うことができます。

私たちがヴィーガン専用の商品を選ぶことで、動物実験をせず動物性原料も使わない「エシカルな企業」をサポートすることができます。そしてそのような優良企業が増えれば、「実験と言う名の拷問」にかけられる動物たちを減らすことができるのです。

「iHerb」「Qoo10」「スタイルコリアン」には、コスメ、シャンプー、歯磨き粉、石鹸、ボディソープ、ローションなどなど、ありとあらゆるヴィーガン商品が揃っているので、ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。

見ているだけでも楽しいですよ。

まとめ:肉食者の人はヴィーガンにたくさん質問しよう!ヴィーガンの人は何を聞かれてもいいように知識をつけよう!

講堂で大勢の人が手を挙げて質問する様子

今回は、「ヴィーガンがよく聞かれる質問に対する菜食双子の回答」についてご紹介しました。

ヴィーガンとして生きていると、本当にいろいろな質問を受けます。

中には「双子を論破してやろう」と質問攻めにしてくるアンチもいますが、ほとんどの人は純粋に「ヴィーガンという未知の価値観」に興味があって質問をしてくれます。

もしかしたら質問者さんが「ヴィーガン予備軍」で、動物を搾取しない生き方に共感してくださり、ヴィーガンに目覚めてくれるかもしれません。

なので、何を尋ねられてもきちんと答えられるように、海外の医師や栄養学の専門家、ヴィーガン活動家や環境活動家の方々が発信する情報から多くを学び、双子の考えを明確にしておくことを常に心がけています。

ヴィーガニズムは草の根運動であり、こういった地道な努力が、遥か遠い未来に興る「ヴィーガン世界」へと繋がっていくからです。

双子

もしあなたがヴィーガンで、周りの人からのいろんな質問に困っているなら、双子の回答を参考にしてみてね!

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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