ミンス&ポテト(Mince&Tatties)は、牛ミンチ肉の煮込みをクリーミーなマッシュポテトにかけて楽しむ、スコットランドの伝統食です。
この料理は、厳しい山岳地帯で暮らしていたケルト系農民たちが、限られた資源から栄養価の高い食事を作ろうと工夫した結果生まれました。
今日では、多くの家庭でそれぞれのアレンジが加えられ、スコットランドの家庭料理の象徴となっています。
今回ご紹介するレシピは、友達の「マクレーン家」に代々伝わるものをヴィーガン用に改良し、牛ミンチ肉の代わりにタンパク質が豊富な大豆ミンチとキドニー豆を使用しました。
無骨な見た目ですが、シンプルな材料で簡単に作れる上、高い栄養価も兼ね備えています。
節約中でも無理なく作れる一品ですので、ぜひ一度お試しいただき、雄大なスコットランドの自然に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
- 料理人
- ヴィーガン歴15年以上
- NZ国立Toi Ohomai工科大学とWaikato工科大学で2年間料理を学び、同国のレストランで4年間修業
ミンス&ポテトの作り方
【ミンス&ポテトの材料(2~4人分)】
マッシュポテト用
- じゃが芋:7~8個
- エクストラバージンオリーブ油:大さじ1
- 自然塩:小さじ1/2
- 黒コショウ:小さじ1/2
- 豆乳:1/2~1カップ
ミンス用
- エクストラバージンオリーブ油:大さじ3
- 玉ねぎ:1個
- 人参:2本
- 生姜:1かけ(15g)
- ニンニク:1かけ
- ベイリーフ:1枚
- 自然塩:小さじ1/2
- 乾燥大豆ミンチ:1.5カップ(110g)
- キドニー豆缶:1缶/400g(豆の重量は250g)
- 水:400g
- ヴィーガン・ブイヨン:1個
- 昆布だし:小さじ1
- 黒コショウ:小さじ1/2
- 醤油:大さじ1
- ウスターソース:大さじ1
- 素焚糖:小さじ1
- コーンスターチ:大さじ1と1/2
- 水(とろみ用):大さじ1と1/2
作り方① マッシュポテトをつくる
じゃが芋は皮を剥いて半分に切り、蒸し器に入れて30~40分蒸します。竹串を刺してスッと通ったらOKです。
鍋で茹でるときは、大鍋にじゃが芋を入れ、水をひたひたに加えて中火で沸騰させます。弱火にして20~30分茹で、竹串がスッと刺さるまで柔らかくなったらザルにあけます。
*茹でるよりも蒸した方がじゃが芋の栄養素が残るので、蒸す方がおすすめです。
大き目のボールに蒸したての熱々じゃが芋を入れ、マッシャーやフォークの背を使って固まりがなくなるまで潰します。
オリーブ油、塩、コショウ、豆乳1/2カップを入れ、クリーミーになるまでしっかりと潰します。
マッシュが硬めならば、残りの豆乳を加えて混ぜ、好みの柔らかさに調整してください。
作り方② ミンス用の材料を準備する
玉ねぎは皮を剥いて、1センチ角のダイス切りにします。
人参は皮を剥いて、7ミリ厚さの輪切りにします。
生姜とニンニクはすりおろします。
キドニー豆は茹で汁を捨ててからボールに入れ、流水で泡が出なくなるまで洗ったらザルにあけて、よく水気を切っておきます。
豆の缶詰を使うときは、茹で汁をすべて捨ててからボールに入れ、水で泡(サポニン)が出なくなるまで洗ってあげると、豆によるお腹の張りを軽減することができます。
豆を水で洗うと栄養素が多少流れてしまいますが、豆をたくさん食べるヴィーガンの悩みである「お腹の張り」が改善されるので、缶詰の豆は洗ってから使うことをおすすめします。
乾燥大豆ミンチを大きなボールに入れ、熱湯を1リットルくらい注いでザっと混ぜたら、冷めるまでそのまま置いて完全にふやかします。
*乾燥大豆ミンチは、熱湯で戻すと2.5~3倍に増えます。
ザルにあけて戻し水を捨てたら、新しい水を張ったボールの中にジャボンとザルごと浸けて、ゆすり洗いをします。
これをあと2回繰り返してしっかりと洗い、大豆の臭みを取ります。
最後に大豆ミンチを両手でギューッと絞り、水気を切っておきます。
小さな器にコーンスターチと水を入れ、よく混ぜ合わせておきます。
時間が経つと沈殿するので、使う前にもう一度よくかき混ぜます。
作り方③ ミンスを作る
鍋に油を入れて熱したら、玉ねぎ、人参、生姜、ニンニク、ベイリーフ、塩を加えてよく混ぜ、蓋をして野菜が柔らかくなるまで中火で15分間蒸し煮します。
大豆ミンチとキドニー豆を加えてよく混ぜ、蓋をしてさらに中火で15分間蒸し煮します。
水、ブイヨン、昆布だし、コショウ、醤油、ウスターソース、素焚糖を加えて混ぜ、中火で沸騰させます。
弱火にし、野菜や大豆ミンチが完全に柔らかくなるまで蓋をして20~30分コトコト煮込みます。
コーンスターチと水をよく混ぜてから鍋に回し入れ、かき混ぜながらとろみが出てくるまで5分ほど煮込みます。
最後に味を見て足りなければ、塩やコショウなどを足して味を調節してください。
お皿にマッシュポテトを盛り、その上から熱々のミンスをかけて完成です。
まとめ:ボリューミーで栄養満点のミンス&ポテトを食べて、心もお腹も満たされよう!
ヴィーガン食にはタンパク質が不足しがちと言われていますが、今回ご紹介したレシピで使用している大豆ミンチとキドニー豆には、牛ミンチ肉とほとんど同量のタンパク質が含まれています。
- 茹でたキドニー豆 250g:23g
- 乾燥大豆ミンチ 110g:50.9g
- 牛ミンチ肉 450g:77g
キドニー豆と大豆ミンチのタンパク質量を足すと、73.9gになります。
この含有量は、一般的なミンス&ポテトのレシピで使用される牛ミンチ肉450gのタンパク質量とほとんど変わりません。ヴィーガン用にアレンジしても、十分なタンパク質を摂取できますのでご安心ください。
またミンス&ポテトは、季節も懐状況も問わず、どんなタイミングでも作れる万能レシピです。
大豆や豆類はコレステロールフリーで食物繊維が豊富なため、ヴィーガンの健康もサポートしてくれます。
ぜひあなたの日常メニューとして、心もお腹も満足する「ミンス&ポテト」をご活用ください。
これからも、さまざまな「簡単に作れるヴィーガンレシピ」をご紹介していきますので、『菜食双子』にまた遊びに来てくださいね。
ミンスにタイムやローズマリー、キノコやセロリ、赤ワインなどを加えると、リッチな風味のミンス&ポテトになるよ。試してみてね!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。