
ヴィーガン食に移行してからしばらく経つと、「なんか体の調子が良くない・・・」と感じ始める人がいます。
結論から言うと、お腹の張りを除くほとんどの体調不良は、「栄養素不足」が原因です。しかしこれは、ヴィーガン食に栄養素が足りていないという意味ではありません。
ヴィーガン食に使われる植物性食品には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、抗酸化物質、植物栄養素などが豊富に含まれているため、さまざまな種類の植物をバランスよく食べていれば、ヴィーガンが栄養素不足になることはないのです。
ですがヴィーガン食を始めたばかりのころは、ヴィーガンに必須の栄養素を知らなかったり、知っていてもうっかり摂取するのを忘れたりして、栄養素不足に陥りやすくなります。
せっかく始めたヴィーガン食を「体調不良のせい」で諦めなくてもいいように、ぜひ知識で武装してください。
本日はヴィーガン歴15年以上の双子が、「ヴィーガン初心者に起こる体調不良の改善策と予防法」について詳しく解説いたします。

- 料理人
- ヴィーガン歴15年以上
- NZ国立Toi Ohomai工科大学とWaikato工科大学で2年間料理を学び、同国のレストランで4年間修業
ヴィーガン初心者に起こりやすい13個の体調不良

ヴィーガン初心者に起こりやすい体調不良は、次の13個です。
- 食べても食べても、すぐにお腹が空く
- 体がだるい・力が入らない
- 頭がぼーっとする
- 肌が荒れる・肌が乾燥する
- 気分が落ち込む
- よく眠れない
- 体が冷える
- 無月経・生理不順
- お腹が張ってしまう
- 関節炎・関節痛
- 頭痛や片頭痛がする
- めまい・立ち眩み
- 抜け毛・薄毛
それでは、一つずつ解説します。
体調不良① 食べても食べても、すぐにお腹が空く

カロリーが十分に摂れていない
ヴィーガン食に使われる植物性食品はカロリーが低く、食物繊維が豊富に含まれているため、少量食べただけで満腹になり、一回の食事量が知らずのうちに少なくなってしまいます。
体が消費するカロリーよりも摂取するカロリーの方が少ないと、食欲ホルモンのグレリンが増加して、食べても食べてもすぐにお腹が空いた状態になってしまうのです。
- 一度の食事でたくさん食べるのではなく、1日を通して少量を頻繁に食べて、総摂取カロリーを増加させる。
- 脂質が多い食品(ナッツ、シード、ココナッツミルク、アボカド、オリーブなど)を食べて、カロリー摂取量を増やす。
- カロリーの高い食品(ドライフルーツ、ナッツバター、練りごま、バナナ、さつま芋、じゃが芋、スムージー、植物性ミルク、豆類、大豆製品、代替え食品など)を摂取して、全体的なカロリー量を増加させる。
- 良質な油(オリーブ油、ココナッツ油、アボカド油など)を使って調理し、カロリー摂取量を増やす。料理の最後に亜麻仁油、エゴマ油、エクストラバージンオリーブ油を振りかけても良い。
- 1日を通して、おやつ(ナッツ・シード、ドライフルーツ、果物、焼きいも、干し芋、甘栗、ポップコーン、コーンチップス、全粒クラッカー、豆乳ヨーグルトなど)を食べて、摂取カロリーを増やす。
タンパク質や脂質が不足している
タンパク質は満腹ホルモンのコレシストキニン、グルカゴン様ペプチド-1、ペプチドYYなどを放出させて、満腹感や満足感を維持してくれます。
脂質は最も効率の良いエネルギー源(脂肪1gにつき9kcal)で、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収に必須の栄養素です。脂質が小腸に入ると消化が遅くなり、胃の内容物を腸に排出するのに時間がかかるため、満腹感や満足感が持続するのです。
ヴィーガン食に切り替えたあと、1日3食しっかり食べてもまだ空腹を感じる場合は、タンパク質や脂質の摂取が足りないのかもしれません。
- タンパク質が豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、代替肉など)を、毎回の食事に取り入れる。
- 大豆製品(豆腐、納豆、厚揚げ、油揚げ、高野豆腐など)や、豆類(ひよこ豆、レンズ豆、白いんげん豆、キドニー豆など)を食べると、1日に必要なタンパク質量を手軽に摂取できる。
- 高脂肪の植物性食品(ナッツ・シード、アボカド、オリーブ、ココナッツミルク、良質な油など)を毎日の食事に取り入れて脂質の摂取量を増やし、必須脂肪酸を得る。
- 全粒穀物(玄米、オートミール、全粒粉、キノアなど)にはタンパク質と脂質が含まれているので、なるべく全粒の商品を選ぶ。
- 植物性の代替え肉、植物性チーズなどを利用して、タンパク質と脂質を摂取する。
- 食事だけでタンパク質と脂質の必要量を満たすのが難しい場合は、ヴィーガンプロテインやヴィーガンプロテインバ―の使用を検討する。
精製された炭水化物を食べ過ぎている
ヴィーガン食に移行したての頃は何を食べればいいのか分からず、調理が簡単で腹持ちの良い炭水化物(白米、白パン、パスタ、うどん、そうめん、餅、ビーフン、ラーメンなど)を中心に食べてしまうものです。
精製された炭水化物を多く含む食事を食べると血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが過剰に分泌されて血糖値は急降下します。
このような血糖値スパイクにより、空腹感が止まらないような気分になるのです。
- ヴィーガンの食事を作るときは、豆、大豆製品、野菜、果物、ナッツ・シード、キノコ、海藻、全粒穀物、代替え食品など、さまざまな植物性食品を使うようにする。
- 精製された炭水化物(白米、白パン、パスタ、うどん、そうめん、餅、ビーフン、ラーメン)の代わりに、血糖値を上げない炭水化物(玄米、オーツ麦、全粒粉パン、ライ麦パン、全粒パスタ、豆のパスタ、十割そば、キノアなど)を選んで食べる。
体調不良② 体がだるい・力が入らない

ビタミンB12が不足している
ビタミンB12は赤血球の合成(造血)に必要なため、不足すると赤血球を生成できずビタミンB12欠乏性貧血が生じ、疲労感やだるさを引き起こします。
また、ビタミンB12が不足すると正常な細胞分裂ができなくなり、赤血球が巨大化して巨赤芽球性貧血を招きます。すると全身に十分な酸素を運べなくなるため、疲労や衰弱の症状があらわれます。
植物にビタミンB12は含まれていないので、ヴィーガン食に切り替えたら、ビタミンB12サプリの摂取は必須になります。
- ビタミンB12のサプリメント(一日に少なくとも2.4μg以上)を摂取する。
鉄分が不足している
鉄分は、赤血球に存在するタンパク質であるヘモグロビンの生成に必要な栄養素であり、全身へ酸素を運ぶ役割を担っています。
鉄分が不足して鉄欠乏性貧血が生じると、全身に供給される酸素量が減少し、疲労感やだるさなどの症状が引き起こされます。
植物性の非ヘム鉄の生体利用率は低いので、ヴィーガンは一般の必要量の1.8倍の鉄分を摂取しなければなりません。
- 鉄分が豊富な食品(大豆製品、豆類、全粒穀物、ナッツ・シード、緑の葉物野菜、ハーブ、ドライフルーツ、キノコ、海藻、ダークチョコレートなど)を、毎回の食事に取り入れる。
- ビタミンCを含む食品(柑橘類、ベリー類、キウイ、パイナップル、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマトなど)を一緒に食べて、鉄分の吸収率を上げる。
- カフェインやタンニン、ポリフェノールなどは鉄分の吸収を阻害するので、食事中はもちろん、食後1時間はコーヒーや紅茶、赤ワインなどを飲むのを控える。
- 鉄製の鍋でトマトや唐辛子、レモンなどの酸性食材を調理すると、鉄分が溶け出して料理中の鉄含有量が増加する。
ヨウ素が不足している
ヨウ素は体が甲状腺ホルモンを作るために必要なミネラルであり、不足すると甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があります。
この甲状腺機能低下症の症状の一つが「体のだるさ」なのです。
和食中心の人は、ヨウ素が豊富な海藻を頻繁に食べるので心配ありませんが、海藻が苦手な人や洋食中心の人は、ヨウ素が不足する危険性があります。
- 海藻を使った日本の伝統食(ワカメのお味噌汁、海藻サラダ、巻き寿司、塩昆布のおにぎり、もずくの酢の物、昆布巻き、とろろ昆布汁など)を、積極的に食べる。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマト、キウイ、パイナップル、マンゴーなど)を一緒に食べると、ヨウ素の吸収を高めることができる。
- 週に3~4回海藻を食べて必要なヨウ素量を満たす。
タンパク質が不足している
タンパク質は筋肉の形成と維持に不可欠な栄養素であり、不足すると体は必要なアミノ酸を得るために筋肉組織を分解し始め、筋肉量の減少、筋力の低下、疲労感などを引き起こします。
またタンパク質は、全身に酸素を運ぶ赤血球の生成にも不可欠であり、不足するとヘモグロビンの生成を減少させて貧血を招き、疲労やだるさを生じさせます。
植物性タンパク質は動物性のものに比べて吸収されにくいため、ヴィーガンは一般(体重1キロにつき0.8g)よりも少し多めの「体重1キロにつき0.9gのタンパク質」を摂取する必要があります。
- タンパク質が豊富な食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、代替え肉)を、毎回の食事に取り入れて、必須アミノ酸を確実に摂取する。
- 食事から十分な量のタンパク質を得るのが難しい人は、ナッツやシード、ヴィーガンプロテインバーなどをおやつに食べて、タンパク質を補給する。
- ヴィーガンプロテイン(ピープロテイン、ライスプロテイン、ソイプロテインなど)を活用して、タンパク質の摂取量を増加させる。
- タンパク質の消化と吸収をサポートする消化酵素サプリや、生のパパイヤ、生のパイナップルなどの果物を摂取する。
- 一度の食事で大量のタンパク質を摂るのではなく、少量づつ1日を通して摂取し、必要量を満たすようにする。
精製された炭水化物を食べ過ぎている
ヴィーガン食の初心者は、それまで食べていた「動物性タンパク質(肉、魚、卵、乳製品)」の代わりに、「精製された穀物製品(白米、白パン、うどん、パスタ、ラーメンなど)」を食べてお腹を満たす傾向があります。
精製された炭水化物を食べ過ぎると、血糖値の急上昇と急降下を引き起こし、だるさや脱力感を招く可能性があります。
- 精製された炭水化物を食べるときは、豆や大豆製品などのタンパク質、野菜や海藻などの食物繊維、ゴマやクルミなどの脂質と一緒に摂取すると、炭水化物の消化が遅くなり、血糖値の変動を避けることができる。
- 精製された炭水化物ではなく、全粒の穀物(玄米、雑穀米、オーツ麦、十割そば、ライ麦パン、全粒粉パン、全粒粉パスタ、キノアなど)を食べて、血糖値を上げないように工夫する。
- 精製された炭水化物の代わりに、複合炭水化物が豊富なデンプン質の野菜(じゃが芋、さつま芋、里芋、かぼちゃ、ビーツ、トウモロコシ、豆類など)を食べると、血糖値の変動を避けられる。また複合炭水化物は消化に時間がかかるので、単純な炭水化物よりも安定したエネルギー源になる。
体調不良③ 頭がぼーっとする

オメガ3が不足している
脳細胞にはオメガ3脂肪酸(特にDHAとEPA)が多く含まれており、脳の健康を維持してくれています。
ヴィーガンが食品からオメガ3を摂るには、α-リノレン/ALA食品(ヘンプシード、チアシード、アマニ、クルミなど)を食べて、体内でEPAやDHAに変換する必要があります。ただ変換率はEPAで5~10%、DHAで2~5%と決して高くありません。
ヴィーガンの中には、ALA食品を多めに食べることでオメガ3の必要量を満たしている人もいますが、体内でのALAからEPA・DHAへの変換には限界があり、個人差もあるため、ヴィーガン用オメガ3サプリの摂取が奨励されています。
- ALA食品(ヘンプシード、チアシード、アマニ、クルミ、ピーカンナッツ、えごま、サチャインチシード、スピルリナ、芽キャベツ、枝豆、白いんげん豆、アボカド、ズッキーニ、菜種油など)を、毎回の食事に取り入れる。
- 藻類由来のヴィーガン用オメガ3サプリ(一日に250~500mg)を摂取する。
- 植物油などに含まれるオメガ6(リノール酸)も必須脂肪酸だが、過剰に摂取するとALAのオメガ3への変換を阻害してしまうので、摂取量に注意する。
ビタミンB12が不足している
ビタミンB12は脳細胞の健康を維持し、神経細胞の迅速な通信を可能にするために不可欠な栄養素で、不足するとブレイン・フォグ(脳の霧)を引き起こします。
植物からビタミンB12は摂れないため、ヴィーガン食に移行後はビタミンB12サプリの摂取が必須となります。
- ビタミンB12のサプリメント(一日に少なくとも2.4μg以上)を摂取する。
鉄分が不足している
鉄分には「血液中の酸素を体中の組織に運ぶ」という重要な役割があります。
鉄分が不足して鉄欠乏性貧血になると脳に酸素の運搬ができなくなり、「ブレイン・フォグ(脳の霧)」が発生する可能性があります。
ヴィーガンは植物性の非ヘム鉄の吸収を高めるために、食事の仕方に工夫が必要です。
- 鉄分の豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、緑の葉野菜など)を、毎回の食事に取り入れる。
- ビタミンCが豊富なもの(柑橘類、ベリー類、キウイ、パイナップル、パパイヤ、アブラナ科の野菜、パプリカなど)を一緒に食べて、鉄分の吸収率を高める。
- 鉄製の鍋で酸性食材(トマト、レモンなど)を調理すると、鉄が溶けだして料理中の鉄分含有量が増加する。
- 豆類や穀物類は浸水して発芽させ、それから調理すると、鉄分の吸収を阻害するフィチン酸を減少できる。
- お茶、紅茶、コーヒーに含まれるタンニンやカフェインは鉄分の吸収を阻害するので、食事中は飲まない。
- カルシウムサプリは鉄分の吸収を阻害する可能性があるため、食事と一緒に摂取しない。
コリンが不足している
コリンはビタミンでもミネラルでもない有機の水溶性化合物で、細胞膜や神経細胞の構成に必要なリン脂質(レシチン)の材料になります。
また、コリンはアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質に変換され、記憶や認知などの脳機能に役割を果たします。
コリンの不足はアセチルコリンの欠乏を引き起こし、認知機能を低下させてブレイン・フォグ(脳の霧)を生じさせる可能性があります。
コリンが豊富に含まれている植物(大豆、キノア、ブロッコリーなど)をしっかりと摂取していれば、ヴィーガンのコリン不足は解消されます。
コリンのサプリも販売されていますが、コリンの過剰摂取(1日に3500mg以上)は心臓病や肝臓疾患などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。ちなみに1日のコリン必要量は、男性で550mg、女性で425mgです。
- コリンが豊富な植物性食品(アブラナ科の野菜、豆類、大豆製品、キノア、小麦胚芽、アーモンド、カシュー、ピスタチオ、アマニ、じゃが芋、人参、キウイ、キノコなど)を、毎日の食事に取り入れる。
- ビタミンB12の不足はコリンの生成を妨げて、血中コリン濃度の低下を引き起こす可能性があるので、ビタミンB12のサプリは必ず摂取する。
体調不良④ 肌が荒れる・肌が乾燥する

鉄分が不足している
鉄分が不足してヘモグロビンが減ると、酸素や栄養素を体の隅々まで届けることができなくなり、新陳代謝が低下して肌のターンオーバーが上手くいかなくなります。
また鉄分はコラーゲンの合成に必要な栄養素なので、不足すると肌の弾力がなくなってしまうほか、貧血発疹と呼ばれる「そう痒症(皮膚のかゆみ)」や「点状出血(赤や紫の発疹)」が現れる場合もあります。
植物性食品には鉄分が豊富に含まれていますが、摂り方を工夫しないと不足状態に陥る場合もあるので注意が必要です。
- 鉄分が豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、全粒穀物、ナッツ・シード、緑の葉野菜、ドライフルーツ、海藻など)を、毎日たくさん食べる。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、キウイ、パイナップル、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマト、さつま芋など)を一緒に食べて、鉄の吸収率を上げる。
- 鉄の鍋でトマトソースなどの酸性食品を調理すると、料理中の鉄分含有量が増加する。
- 紅茶、緑茶、コーヒーなどは鉄の吸収を阻害するので、食事中はもちろんのこと、食前・食後の1時間も飲まないようにする。
- 発酵食品(ザワークラウト、ぬか漬け、漬物、味噌、テンペなど)は鉄分の吸収を促進するので、積極的に利用する。
- 鉄分の吸収を阻害するカルシウムサプリや食物繊維サプリを、食事中に摂らない。
亜鉛が欠乏している
亜鉛の欠乏はタンパク質の合成に影響を及ぼして角質層の成長を阻害し、皮膚を薄くして乾燥や痒みを招きます。
また亜鉛が不足すると皮膚の外層を構成するタンパク質の「ケラチン」が蓄積して毛穴がつまり、ニキビなどの肌トラブルを引き起こすこともあります。
ヴィーガン食実践者に亜鉛不足が多いのは、植物に含まれるフィチン酸によって亜鉛の吸収が阻害され、植物に含まれる銅が亜鉛と競合して亜鉛の吸収を妨げるからです。
ヴィーガンは動物性食品を食べる人よりも、最大50%多くの亜鉛を摂取する必要があるので、十分な亜鉛摂取量を確保できるように食事内容を工夫することが重要です。
- 亜鉛が豊富な食品(豆、大豆製品、ナッツ・シード、全粒穀物、キノコ、ブロッコリー、ケール、ほうれん草、ニンニクなど)を、毎日の食事に摂り入れる。
- 亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸を減らすために、豆類や穀物は12~24時間浸水(途中で水を3~4回替える)してから、新しい水を加えて調理する。
- 豆類や穀物は浸水して発芽させ、スプラウトや発芽玄米などにすると、フィチン酸を減らすことができる。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマトなど)と一緒に食べると、亜鉛の吸収を高めることができる。
- 鉄分は亜鉛の吸収を妨げる作用があるので、鉄サプリの過剰摂取に気を付ける。
- 亜鉛のサプリメント(男性は16.5mg、女性は12mg)を毎日摂取する。
ビタミンDが不足している
ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を促進するため、不足するとカルシウムの吸収率が低下します。
カルシウムには皮脂生成のサポート、皮膚のバリア機能の調節、細胞の代謝と再生の促進などの役割があり、不足すると肌の瑞々しさを保てずに乾燥肌を引き起こします。
ビタミンDには細胞分裂やコラーゲンの生成を促す働きもあるので、不足するとターンオーバーの周期を乱して肌トラブルの原因となり、皮膚の老化やその他の皮膚疾患を引き起こす可能性があります。
植物性食品からビタミンDを摂るのは難しいので、ヴィーガンはビタミンDサプリの使用が奨励されています。
- 地衣類由来のヴィーガン用ビタミンD3サプリ(1日に2,000~4,000IU)を摂取する。
オメガ3が不足している
オメガ3は肌の細胞膜の構成成分で、皮膚のバリア機能を改善し、水分を閉じ込めて肌の潤いと柔軟性を保ちます。
そのためオメガ3が不足すると肌の水分が失われ、肌荒れ、肌の乾燥、赤み、痒み、ニキビなどを引き起こす可能性があります。
植物性食品に含まれる「α-リノレン酸」を体内でEPAとDHAに変換することはできますが、変換率は非常に低いので、不足が心配な方はヴィーガン用オメガ3サプリの利用をおすすめします。
- α-リノレン酸/ALA食品を、1日2,000mg(アマニ粉なら10g、チアシードなら12g、ヘンプシードなら10g、くるみなら25g)摂取して、体内でEPAとDHAに変換する。
- 藻類由来のヴィーガン用オメガ3サプリ(1日250~500mg)を摂取する。
- オメガ6(植物油など)の摂取量を減らすと、ALA食品のオメガ3への変換率が高まる。
タンパク質が不足している
タンパク質には、コラーゲンの合成や角質細胞の分化を正常に行う役割があります。
そのため不足すると肌の新陳代謝が低下し、古い角質が蓄積してニキビなどの肌トラブルが起こるほか、コラーゲンの生成ができなくなることで肌の弾力や潤いが失われ、乾燥肌を引き起こします。
またタンパク質の不足は「IGF-1(インスリン様成長因子-1:肝臓から分泌される成長ホルモンの一種)」を大幅に減少させるため、皮膚の細胞分裂・細胞増殖が促進されず、皮膚を薄くして乾燥や痒みの原因となります。
バランスの取れたヴィーガン食でタンパク質が不足することはありませんが、豆や大豆製品をあまり食べない人は、タンパク質が不足することがあります。
- タンパク質の豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、代替え肉)を、毎回の食事に取り入れる。
- 体重1キロにつき0.9gの植物性タンパク質を摂取する。
- 食事だけでタンパク質の必要量を満たすことが難しいならば、ヴィーガンプロテインやヴィーガンプロテインバーを活用する。
ビタミンAが不足している
ビタミンAは、コラーゲンの蓄積と細胞の成長を刺激することで肌の健康を維持しており、不足すると、乾燥肌、うろこ肌、湿疹、痒み、皮膚炎などの肌トラブルを引き起こす可能性があります。
ビタミンAには「動物由来のレチノール」と「植物由来のカロテノイド」があります。
ヴィーガン食では植物に含まれるβ-カロテン(前駆体:プロビタミンA)を、体内でビタミンA(レチノール)に変換しています。
動物性のレチノールは体内に容易に吸収されますが、β-カロテンの吸収率はあまり高くありません。そのためヴィーガンはビタミンAが不足しやすいと言われています。
- ビタミンAが豊富な植物性食品(かぼちゃ、人参、さつま芋、パプリカ、トマト、赤唐辛子、アンズ、マンゴー、アサイー、パパイヤ、メロン、パセリ、バジル、シソ、ケール、ほうれん草、モロヘイヤ、カブの葉、ブロッコリー、豆類、ナッツ・シードなど)を、毎回の食事に取り入れる。
- ビタミンAは脂溶性なので、脂質を含むもの(ナッツ・シード、アボカド、オリーヴ、良質な油など)と一緒に食べて、吸収率を上げる。
体調不良⑤ 気分が落ち込む

ビタミンDが不足している
ビタミンDは、気分の調節を司る神経伝達物質の「セロトニン」や「ドーパミン」の生成に重要な役割を果たしており、不足するとそれらの生成が減少するため、うつ病を発症するリスクが高まります。
ビタミンDは日光に肌をさらすことで合成できますが、現代の人は屋内で過ごすことが多く、日焼け止めを塗るなどの習慣から、十分な量を得ることができません。
さらに、植物性食品にはビタミンDの供給源となるものがほとんどないので、ヴィーガンはうつ病予防としてビタミンDサプリの摂取が奨励されています。
- 地衣類由来のヴィーガン用ビタミンD3サプリ(1日に2,000~4,000IU)を摂取する。
ビタミンB12が不足している
ビタミンB12は、血液中に含まれるアミノ酸の一つであるホモシステインの代謝に関与しています。
そのため、ビタミンB12が不足すると血中のホモシステイン濃度が過剰に高まり、脳機能に影響を及ぼして、気分の落ち込みや虚無感などの抑うつ症状を引き起こす可能性(ホモシステイン仮説)があります。
植物からビタミンB12は摂取できないので、ヴィーガン食に切り替えたらビタミン12サプリの摂取は必須になります。
- ビタミンB12のサプリメント(一日に2.4μg以上)を摂取する。
オメガ3が不足している
オメガ3脂肪酸は、神経新生、神経伝達、神経炎症に関与しており、脳機能の健康維持に重要な役割を果たしています。
オメガ3の欠乏は、脳内の炎症の増加と神経伝達物質セロトニンの生成の減少に関連しており、うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神障害を発症する可能性が高まります。
ヴィーガンはα-リノレン酸(ALA)食品を食べ、体内でEPAやDHAに変換することでオメガ3を得ていますが、変換率は非常に低いので、心配な方はサプリでの摂取がおすすめです。
- α-リノレン酸食品(アマニ、チアシード、ヘンプシード、クルミなど)を毎日10~25g摂取して、体内でEPAやDHAに変換する。
- 藻類由来のヴィーガン用オメガ3サプリを一日に250~500mg摂取する。
亜鉛が不足している
亜鉛は脳などの身体機能や代謝に重要な役割を果たしており、うつ病に関連する脳領域(海馬、扁桃体、大脳皮質)の亜鉛恒常性の維持に不可欠な栄養です。また神経伝達物質のセロトニン合成や、細胞のシグナル伝達などの役割も担っています。
亜鉛が不足すると、脳の神経伝達物質のバランスが崩れて感情のコントロールが難しくなるため、情緒不安定、無気力、恐怖感、マイナス思考、うつ病などの精神障害が引き起こされることがあります。
植物から十分な亜鉛を摂取するのは簡単ではありませんが、亜鉛が豊富な食材を選んで食べるようにすれば必要量を得ることは可能です。もし食事からの亜鉛が足りない場合は、サプリの利用をご検討ください。
- 亜鉛が豊富な植物性食品(全粒穀物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、ダークチョコレートなど)を、毎日食べる。
- 全粒穀物、豆類、ナッツシードは「浸水・発芽・発酵」させて、亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸を減らしてから調理したり食べたりする。
- サワードウパン(天然酵母パン)やスプラウト(もやしなどの発芽豆)は亜鉛の吸収率が高い食品なので、積極的に利用する。
- 亜鉛のサプリ(男性16.5mg、女性12mg)を毎日摂取する。
- 過度のアルコールは亜鉛の吸収を妨げ、亜鉛の排出を増加させるので、摂取量を制限する。
腸内フローラのバランスが乱れている
腸と脳は神経で繋がっており、腸内環境の状態は心の健康に直結します。
腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、神経伝達物質やホルモンの生成が妨げられ、うつ病や不安症などの精神障害のリスクが高まる可能性があります。
「気分を良くするホルモン」と呼ばれるセロトニンは、精神障害の予防に重要な役割を果たしており、その95%は腸で生成されています。
ヴィーガン食は稀に見る「高食物繊維食」なので、ヴィーガンに移行すると、ほとんどの人の腸内フローラが一時的に乱れます。
ヴィーガン食に腸が慣れるまで、どうしてもお腹の不調は出てしまいますが、以下の「腸内環境を整える対策」を取りながら、気長に落ち着くのを待ってみてください。
- 発酵食品に含まれる乳酸菌の「ラクトバチルス・ヘルベティカス」と「ビフィドバクテリウム ・ロンガム」は腸内細菌叢を調節する善玉菌であり、うつ病や不安症状を和らげる作用があるので、積極的に摂取する。
- プロバイオティクス(発酵食品:ザワークラウト、ピクルス、ぬか漬け、古漬け、メンマ、納豆、テンペ、味噌、塩麹、豆乳ヨーグルトなど)を食べて、腸に善玉菌を送り込む。
- 善玉菌のエサになるプレバイオティクス(オリゴ糖・食物繊維:玉ネギ、キャベツ、ブロッコリー、トウモロコシ、きのこ、海藻など)を食べて、増殖や活動をサポートする。
- 抗生物質は腸内細菌叢に重大な変化(種の多様性の減少、代謝活性の変化、有益な細菌の喪失など)を引き起こし、健康に悪影響を与える可能性があるので、乱用に注意する。
- 健康な腸内細菌叢を維持するために、十分な睡眠(毎晩7~9時間)をとる。
- 加工食品や糖分の多い食品は、腸内細菌叢に悪影響を及ぼして炎症を引き起こす可能性があるので、摂取を制限する。
- 健康な腸内細菌叢のサポートをするために、1日あたり1.5~2リットルの水を飲む。
- 過度のアルコールは腸内細菌叢を破壊して炎症を引き起こすので、摂取を制限する。
鉄分が不足している
鉄は神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの生成や、脳細胞の信号伝達に必要な栄養素です。
鉄は血流によって全身に酸素を運ぶため、鉄が不足すると体の酸素濃度が低下し、精神疲労、気分の落ち込み、イライラ、パニック発作など、うつ病のような症状を引き起こすことがあります。
鉄不足がうつ病の発症リスク高め、うつ病の重症度も高めるという研究結果もあります。
ヴィーガン食で使われる食材は鉄分が豊富なのですが、調理の仕方や食べ方を間違えると吸収率が低下して鉄分不足の状態になってしまいます。少しの工夫で植物性の非ヘム鉄の吸収率をUPできるので、ぜひ実践してみてください。
- 鉄分の豊富な植物性食品(濃い緑色の葉野菜、大豆製品、豆類、全粒穀物、ナッツ・シード、ドライフルーツ、ハーブ、キノコ、海藻、スピルリナ、ダークチョコレートなど)を、毎回の食事で摂取する。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、キウイ、マンゴー、パイナップル、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマトなど)と一緒に食べて、鉄分の吸収をUPさせる。
- 鉄製の鍋でトマトやレモンなどの酸性食品を調理すると、料理中の鉄分が増加する。
- 豆類や穀物、ナッツやシードなどを浸水して発芽させると、鉄分の吸収を阻害するフィチン酸が減少し、吸収率が上昇する。
- 鉄の吸収を阻害するカフェインやタンニンが含まれたコーヒーや紅茶を食事中に飲まない。食事の1時間前や1時間後に飲むようにする。
- 鉄分が豊富な野菜は茹でたり蒸したりすると、より鉄分の吸収率が高まる。高温での調理や長すぎる調理は鉄分が失われるので注意。
気分が落ち込んだときにおすすめの飲みもの
ここをクリックすると、2種類の飲みものレシピが現れます。
スパイシー豆乳
豆乳・・・1カップ
生姜すりおろし・・・小さじ1
ターメリック・・・小さじ1/2
シナモン・・・小さじ1/2
ナツメグ・・・小さじ1/4
カルダモン・・・小さじ1/4
カップに豆乳とスパイスを入れてよく混ぜたら、レンジで温めます。お好みで素焚糖を加えます。
- 生の生姜に含まれるセロトニンは幸福感を高め、生姜の持つアダプトゲン(抗ストレス作用)がコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルを調整します。
- ターメリックに含まれるクルクミンには抗炎症作用と抗酸化作用があり、脳を健康にします。
- シナモンは血糖値の上がり下がりを調整して安定させ、気分の浮き沈みを改善してくれます。
- ナツメグには神経の緊張を和らげ、リラックスさせる効果があります。
- カルダモンには天然の抗うつ作用があると言われています。
カカオ抹茶豆乳
豆乳・・・1カップ
ココア粉(無糖)・・・大さじ1
抹茶粉・・・小さじ1
素焚糖・・・適量
カップに少量の豆乳、ココア、抹茶、素焚糖を入れてよく混ぜ溶かします。溶けたら残りの豆乳を加えてよく混ぜ、レンジで温めます。
- カカオにはリラックス効果のあるテオブロミンが含まれており、気分を高揚させるエンドルフィンの分泌を刺激することが証明されています。
- 抹茶に含まれるアミノ酸の一種(旨味成分)のテアニンには、脳の興奮を鎮めてリラックスさせる効果があります。
体調不良⑥ よく眠れない

ビタミンDが不足している
ビタミンDは概日リズム(体内時計)を調整して良質な睡眠を促したり、睡眠ホルモンのメラトニンの生成に関与して、睡眠サイクルの調節をしてくれます。
ビタミンDが不足すると寝つきが悪くなったり、寝てもすぐに目が覚めてしまうなど、睡眠の質や量を低下させることがあります。
ヴィーガン食材にはビタミンDが豊富なものが少ないので、ヴィーガン食に切り替えた後はサプリの摂取が奨励されています。
ただし、ビタミンDはメラトニンの生成を抑制する可能性があるので、寝る前ではなく日中に摂取することをおすすめします。
- 地衣類由来のヴィーガン用ビタミンD3サプリ(1日に2,000~4,000IU)を摂取する。
マグネシウムが不足している
マグネシウムには神経を落ち着かせる作用があり、筋肉をリラックスさせて眠りを誘う働きがあります。
マグネシウム不足は神経の不安定性や睡眠障害を招くだけでなく、就寝前のむずむず脚症候群や、睡眠中に何度も目覚めるなどの症状も引き起こす可能性があります。
ヴィーガン食材には豊富なマグネシウムが含まれているので、バランスよく摂っていればマグネシウムが不足することはありません。
しかし、食事にヴィーガンの加工食品が多かったり、ヴィーガンのお菓子やスナックを食事代わりに食べていたりすると、マグネシウムは不足します。
- マグネシウムの豊富な植物性食品(全粒穀物、ナッツ・シード、豆類、大豆製品、緑の葉野菜、海藻、バナナ、アボカド、ココアパウダーなど)を毎日食べる。
- 炭酸飲料にはマグネシウムを枯渇させるリン酸が含まれているので、摂取量を控える。
- アルコールとカフェイン飲料は、体内からのマグネシウム損失を促進するので、摂取量を控える。
カルシウムが不足している
カルシウムはメラトニンの生成を助け、中枢神経を落ち着かせる作用があるため、不足すると脳の神経伝達が上手くいかず、イライラして気持ちが落ち着かなくなります。
そのためカルシウムが不足すると寝つきが悪くなったり、睡眠中に何度も起きたり、継続して眠ることができなかったりするなどの睡眠障害が引き起こされる可能性があるのです。
多種多様な植物性食品をバランスよく食べていればカルシウム不足になることはありませんが、ヴィーガンの加工食品やスナックを主に食べている人は、カルシウムの不足にご注意ください。
- カルシウムが豊富な植物性食品(濃い緑色の葉野菜、アブラナ科の野菜、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、モラセス、干しイチジクなど)を、毎回の食事に摂り入れる。
- 過剰な塩分摂取は、カルシウムの損失を増加させてしまうので注意する。
- カルシウムの吸収にはビタミンDが必要なので、不足しないようにビタミンDサプリを摂取する。
亜鉛が不足している
亜鉛はトリプトファンからセロトニン、さらに睡眠ホルモンのメラトニンへの交換に寄与しており、血液中の亜鉛が適切であれば入眠時間が短縮されるので、睡眠時間を長くすることができます。
睡眠の質を向上させるために、亜鉛が豊富な植物性食品を摂取するのはもちろんのこと、就寝前に亜鉛サプリを摂ることもおすすめです。
- 亜鉛が豊富な植物性食品(大豆製品、豆類、ナッツ・シード、全粒穀物、ドライフルーツ、ダークチョコレートなど)を、毎回の食事に摂り入れる。
- 豆や穀物は浸水し、発芽させ、発酵させる。こうすることで亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸が減少して吸収率が高まる。
- 亜鉛サプリ(男性16.5mg、女性12mg)を就寝前に摂取する。
鉄分が不足している
鉄分は睡眠導入ホルモンであるメラトニンの前駆体のセロトニンの合成に必要です。
鉄分が不足するとセロトニンの合成が上手くいかなくなってメラトニンの分泌量が減少するため、寝付くまでに時間がかかったり、夜中に何度も目が覚めたり、睡眠時間が短縮したりするのです。
眠りを邪魔するむずむず脚症候群も、鉄分の欠乏が原因です。
植物に含まれる非ヘム鉄は動物性のヘム鉄に比べて吸収率は劣るものの、対策をすればヴィーガン食からでも十分な鉄分量を確保することが可能です。
- 鉄分が豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、濃い緑色の葉野菜、ドライフルーツ、オートミール、キノア、モラセス、ダークチョコレートなど)を、毎回の食事に摂り入れる。
- 鉄の吸収を良くするために、ビタミンCが多く含まれた食品(柑橘類、ベリー類、キウイ、パイナップル、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマトなど)と一緒に食べる。
- 食事中にカルシウムサプリや、繊維サプリを飲むと、食材に含まれている鉄分が吸収されなくなるので注意する。
- 豆や穀物は浸水、発芽、発酵させて、鉄吸収を阻害するフィチン酸を減少させてから、調理したり食べたりする。
- 食事中はカフェインやタンニンが含まれる飲みもの(コーヒー、紅茶、ウーロン茶、緑茶など)を飲まないようにする。
体調不良⑦ 体が冷える

摂取カロリーが不足している
ヴィーガン食に使われる食材は元々カロリーが低いのですが、良質な脂質と植物性タンパク質を取り入れることで、適切なカロリーを摂取することは可能です。
しかしそういった工夫をせずにカロリーが低すぎる食事を続けていると、体はエネルギーを節約して体温を下げることで、重要な脳や臓器に使うエネルギーを補おうとします。
正常なエネルギー生産と体温調節をサポートするためには、適切なカロリー摂取量を維持することが重要なのです。
- カロリーの高い植物性食品(ナッツ・シード、アボカド、ココナッツミルク、オリーブ、ドライフルーツ、豆類、キノア、パスタ、米など)を、毎回の食事に摂り入れる。
- でんぷん質の野菜(じゃが芋、さつま芋、里芋、かぼちゃなど)はカロリー源として優れているので、積極的に食べる。
- ピーナッツバター、アーモンドバター、練りごまなどはカロリーが高いので、料理に加えたり、パンやクラッカーに塗ったりして多用する。
- 料理の最後に良質な植物油(亜麻仁油、えごま油、エクストラバージンオリーブ油、アボカド油)を振りかけて、カロリーを増やす。
- 1日を通してカロリーの高いおやつ(ナッツ・シード、ドライフルーツ、ヴィーガンプロテインバー、グラノーラバーなど)を食べる。
- 1回の食事でたくさん食べるのではなく、少なめの食事を5~6回食べて、無理なく1日の総摂取カロリーを増加させる。
タンパク質が不足している
タンパク質は、代謝や体温の維持などの身体機能に重要な役割を果たしており、不足すると体温が低下する可能性があります。
またタンパク質は筋肉の維持にも不可欠なため、タンパク質が不足すると筋肉量が減少し、筋肉は熱を生成して体温を調節するので、筋肉量の低下は冷えの原因の一つとなるわけです。
ヴィーガンは植物から十分なタンパク質を摂取できますが、豆や大豆製品などのタンパク質が豊富な食材をあまり食べない人は、タンパク質が不足することがあります。
- 植物性タンパク質の消化吸収率は低いため、ヴィーガン食では体重1キロにつき0.9gのタンパク質(一般は体重1キロにつき0.8g)を摂る必要がある。
- ヴィーガンのタンパク質供給源である「豆類、大豆製品、ナッツ・シード、全粒穀物、代替え肉」を、毎回の食事に摂り入れる。
- 食事から十分なタンパク質を摂れない場合は、ヴィーガンプロテインを飲んだり、ヴィーガンプロテインバーを食べたりして、タンパク質摂取量を増やす。
鉄分が不足している
鉄分が不足して赤血球が減少すると全身に酸素が行き届かなくなり、血行不良が生じて冷えを感じるようになります。
また、体が酸欠状態になると筋肉の機能と代謝が低下するので、熱を生み出す力が弱まって冷えを招いてしまうということもあります。
植物性の非ヘム鉄は動物性のヘム鉄に比べて吸収率が低いため、ヴィーガンは鉄分の摂り方に工夫と注意が必要です。
- 鉄分の豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、ドライフルーツ、緑色の葉野菜、全粒穀物など)を毎回の食事に摂り入れて、鉄分の摂取量を増やす。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、アブラナ科の野菜、パプリカなど)を一緒に食べると、鉄の吸収率がぐんとUPする。
- コーヒーや紅茶などのカフェインやタンニンは鉄分の吸収を妨げるので、食事中と食事の前後1時間は飲まないようにする。
- 豆類や穀物は浸水、発芽、発酵させて、鉄の吸収を阻害するフィチン酸を減らす。
- カルシウムは鉄の吸収を阻害するので、鉄分が豊富な食品とカルシウムサプリを一緒に摂らない。
- 鉄製の調理器具で調理すると鉄が浸出して、料理中の鉄分量が増加する。
体調不良⑧ 無月経・生理不順

食事量が減ってカロリーが不足している
ヴィーガン食には大量の食物繊維が含まれているので、少量でお腹がいっぱいになり食事量が大幅に減ってしまう人がいます。
急激に食事の摂取量が減少するとカロリー不足が生じ、ホルモンバランスが崩されることで月経周期が変化し、生理が止まったり不規則になったりすることがあります。
- カロリーの高い植物性食品(じゃが芋、さつま芋、トウモロコシ、米、パスタなど)を毎食の献立に取り入れて、カロリーを増加させる。
- 良質な脂質(ナッツ・シード、ナッツバター、アボカド、ココナッツミルク、オリーブ、ココナッツ油、エクストラバージンオリーブ油、アボカド油、亜麻仁油、えごま油など)を毎回の食事で摂取して、カロリーを増やす。
- おやつ(ナッツ・シード、ドライフルーツ、生果物、ポップコーン、コーンチップス、ヴィーガンプロテインバーなど)を1日に複数回食べて、全体の食事量を増やす。
- 一回の食事で十分な量を食べられないならば、少量の食事を1日に複数回食べて必要な食事量とカロリーを満たす。
鉄分が不足している
鉄分が不足すると貧血を引き起こして血流に影響を及ぼし、月ごとに長さが異なる生理周期などの生理不順を招く可能性があります。
鉄分が豊富な植物には反栄養素のシュウ酸やフィチン酸も豊富に含まれており、鉄分の吸収を妨げてしまうため、ヴィーガン食に移行した後は食材の調理法や食べ方を工夫して、鉄分不足にならないように気をつける必要があります。
- 鉄分の豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、緑の葉野菜、ドライフルーツ、ナッツ・シード、全粒穀物、海藻など)を、毎食に取り入れる。
- 豆や穀物は浸水、発酵、発芽させてフィチン酸を減らし、緑の葉物野菜は湯がいて水にさらしてシュウ酸を減らしてから食べる。
- ビタミンCが豊富な食品(柑橘類、ベリー類、キウイ、パイナップル、アブラナ科の野菜、パプリカ、トマトなど)と一緒に食べて、鉄分の吸収を高める。
- コーヒーや紅茶に含まれるカフェインやタンニンは鉄の吸収を妨げるので、食事中は飲まないようにする。
- 過剰な量のアルコールを摂取すると鉄分の吸収が妨げられ、貧血のリスクも高まるので摂取量を制限する。
亜鉛が不足している
亜鉛にはホルモンバランスを調整する作用があるため、不足すると女性ホルモンの分泌量が低下して卵巣に不調を起こし、生理不順を招く可能性があります。
ヴィーガンが亜鉛不足になりやすいのは、ヴィーガン食に使われる植物性食品に反栄養素のフィチン酸が含まれており、亜鉛の吸収を阻害するためだと言われています。
- 亜鉛の豊富な食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、全粒穀物、ドライフルーツなど)を、毎回の食事に摂り入れる。
- 豆や穀物は「浸水・発芽・発酵」させて、フィチン酸を減らしてから調理して食べる。
- 亜鉛のサプリ(男性16.5mg、女性12mg)を毎日摂取する。
体調不良⑨ お腹が張ってしまう

腸がヴィーガン食に慣れていない
腸や結腸などの消化管に住んでいる何十億もの細菌(腸内フローラ)は、あなたが食べたものを食べて生きています。
肉、魚介類、卵、乳製品を主に食べてきた人の腸内には、動物性食品の分解に適した細菌が住んでいますが、植物主体のヴィーガン食に切り替えると、今度は植物性食品の分解に適した細菌が成長して繁栄します。
腸内細菌は生きており、食生活などの影響で、毎日、毎週、毎月変動するので、腸がヴィーガン食に慣れて腸内細菌叢が変化すれば、お腹の張りは改善します。
- 植物性食品(野菜、果物、豆類、大豆製品、穀物、ナッツ・シード、海藻、キノコなど)を食べるときは、数週間~数ヶ月かけてゆっくりと量を増やしながら、腸を慣らしてゆく。
- 善玉菌の「プロバイオティクス」が豊富な食品(ザワークラウト、ぬか漬け、漬物、納豆、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルトなど)を毎日食べて、腸の健康を改善する。
- 善玉菌のエサになる「プレバイオティクス」が含まれる食品(玉ネギ、ねぎ、ニンニク、オクラ、モロヘイヤ、海藻、きのこ、バナナなど)を食べて善玉菌を増殖させ、腸を健康にする。
- ヴィーガン食に腸が慣れるには1~3ヶ月かかるので、気長に待ってみる。
アブラナ科の野菜を食べ過ぎている
アブラナ科の野菜にはラフィノースと呼ばれるオリゴ糖が含まれていますが、人間はこれを分解する消化酵素を持っていません。
そのためアブラナ科の野菜を食べ過ぎると、消化されずに大腸まで届いた大量のラフィノースが腸内細菌によって分解・発酵され、ガスを過剰に発生させることでお腹の張りを引き起こすのです。
ただアブラナ科の野菜は、ヴィーガンの優れたカルシウム源となっているだけでなく、ビタミンC、ビタミンK、鉄分、カリウムなども豊富に含まれた、非常に栄養価の高い野菜です。
多少のお腹の張りは覚悟の上、食べる量と調理法に注意して、様子を見ながら毎日の食事に取り入れてください。
- アブラナ科の野菜(大根、カブ、キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、菜花、白菜、水菜、小松菜、ケール、ルッコラ、チンゲン菜、クレソンなど)にはしっかりと火を通し、柔らかくしてから食べると消化が容易になり、お腹の張りが軽減される。
豆類を食べ過ぎている
豆類はヴィーガンの優れたタンパク質源ですが、植物性化合物のレクチンや難消化性のオリゴ糖などが含まれているため、食べ過ぎると腸内で発酵してお腹の張りを引き起こすことがあります。
ヴィーガンにとって豆類は貴重なタンパク源であるだけでなく、ビタミンやミネラルも摂れる栄養価の高い食材なので、お腹が張らないように工夫をしてでも食べる価値があります。
- 大さじ1杯の豆から始めて、徐々に量を増やしながら腸を慣らす。
- 豆を茹でるときは、途中で水を換えながら12~24時間浸水し、新しい水を加えて柔らかくなるまでしっかりと茹でる。
- 豆の茹で汁や豆缶の汁にはお腹の張りの原因となるレクチンやオリゴ糖が溶け出しているので、使わずに捨てる。
- 豆を発芽させたスプラウト、発酵させた納豆、テンペ、味噌などは、レクチンやオリゴ糖が減少して消化しやすくなっているので、積極的に利用する。
- 乾燥豆を茹でるよりも、缶詰の豆をよく洗ってから使う方が、お腹の張りが少ない。
- 他の種類の豆と比べて消化しやすい「レンズ豆、ひよこ豆、緑豆、小豆」などを選んで食べる。
高FODMAP食品を摂りすぎている
FODMAPとは、小腸内で消化・吸収されにくい糖類(Fermentable:発酵性、Oligosaccharides:オリゴ糖、Disaccharides:二糖類、Monosaccharides:単糖類、Polyols:ポリオール)の略称です。
FODMAPは小腸で完全に消化されず大腸にまで移動し、腸内細菌によって発酵されて水素ガスを発生させた結果、腸が膨張してお腹の張りを引き起こすのです。
ヴィーガン食は食材が限られているのに、これ以上制限があるのは耐えられない!と思うかもしれませんが、少しの間でも高FODMAP食品を控えることでお腹の張りが抑えられます。
本格的にFODMAPの食事療法をやってみたい方は、医師や栄養学の専門家の指導を仰いでください。
- 高FODMAP食品を控えて、低FODMAP食品を食べるようにする。
ここをクリックすると、高FODMAPの植物性食品一覧が現れます。
- 小麦粉製品:パン、パスタ、うどん、素麺、ラーメン、クスクス、ケーキ、クッキー、パンケーキ
- 穀物:ライ麦、大麦、雑穀、小麦胚芽、アマランス、ブラン、ミューズリー、シリアル
- 大豆製品:絹豆腐、納豆、きな粉、おから、豆乳
- 豆類:レンズ豆、キドニー豆、小豆、グリーンピース
- 野菜:アスパラガス、ゴーヤ、きぬさや
- 根野菜:ごぼう、ビーツ、里芋、さつま芋、菊芋
- アブラナ科野菜:カリフラワー
- ネギ類:玉ネギ、長ネギ(白い部分)、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、エシャロット
- キノコ類:シイタケ、しめじ、マイタケ、なめこ、エリンギ、マッシュルーム
- 果物:リンゴ、梨、洋ナシ、バナナ、アボカド、アンズ、マンゴー、スイカ、柿、サクランボ、桃、プラム、ライチ、ネクタリン、ザクロ、イチジク、ブラックベリー、ボイズンベリー、缶詰フルーツ
- ドライフルーツ:デーツ、レーズン、サルタナ、アプリコット、プルーン、フィグ
- 甘味料:オリゴ糖、甜菜糖、アガベシロップ、モラセス、果糖ブドウ糖液糖、人工甘味料、糖アルコール
- ナッツ類:ピスタチオ、カシューナッツ、蓮の実
- 発酵食品:ザワークラウト、ぬか漬け、豆乳ヨーグルト、納豆
- 飲みもの:タンポポコーヒー、ウーロン茶、カモミールティ、フルーツジュース
ここをクリックすると、低FODMAPの植物性食品一覧が現れます。
- 穀物:白米、玄米、オートミール、雑穀(アワ、きび、ひえ)、キノア、はと麦、スペルト小麦、コーンフレーク
- 穀物粉:そば粉、片栗粉、くず粉、タピオカ粉、ソルガム粉、トウモロコシ粉、コーンスターチ
- 米粉製品:米粉うどん、米粉パスタ、ビーフン、フォー、餅、団子、せんべい
- 大豆製品:木綿豆腐、高野豆腐、味噌、醤油
- 豆類:豆苗、インゲン豆、もやし、黒豆、ひよこ豆、ピーナッツ、ピーナッツバター
- 野菜:きゅうり、トマト、かぼちゃ、ズッキーニ、青唐辛子、なす、パプリカ、ピーマン、みょうが、セロリ、隼人瓜、オリーブ、とうもろこし、ベイビーコーン、オクラ、ルバーブ
- 葉野菜:小松菜、レタス、大葉、ほうれん草、パクチー、パセリ、バジル、ベイビーリーフ、アルファルファ
- 根野菜:こんにゃく、じゃが芋、竹の子、大根、ショウガ、人参、レンコン、ビーツ
- アブラナ科野菜:ケール、チンゲン菜、白菜、カブ、水菜、ルッコラ、ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ、紫キャベツ、芽キャベツ、わさび菜、ワサビ
- ネギ類:青ネギ、チャイヴ
- キノコ類:ヒラタケ
- 果物:パパイヤ、パイナップル、ぶどう、みかん、ゆず、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、メロン、キウイ、ドラゴンフルーツ、グァバ、パッションフルーツ
- 甘味料:メープルシロップ、素焚糖、黒砂糖、米シロップ
- ナッツ類:アーモンド、クルミ、ピーカンナッツ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、栗
- シード類:ごま、練りゴマ、チアシード、ヘンプシード、ポピーシード、アマニ、かぼちゃの種、ひまわりの種、松の実
- 発酵食品:ピクルス
- 海藻類:焼きのり、寒天、ひじき、ワカメ
- 飲みもの:緑茶、紅茶、コーヒー、ペパーミントティー、ココア、アーモンドミルク、ライスミルク、オートミルク、ココナッツミルク、ココナッツウォーター
- スナック:ポップコーン、コーンチップス
お腹の張りを軽減する方法
お腹が張ってしまったときには、次の対処法を試してみてください。
ここをクリックすると、お腹の張りを改善する対処法一覧が現れます。
- 生姜ウコン茶:生姜のすりおろし小さじ1、ターメリック粉小さじ1/2、コショウ少々をカップに入れて熱湯を注いで飲む。
- ペパーミントティー:ペパーミントのティーバッグに熱湯を注いで10分抽出してから飲む。
- 活性炭:活性炭の粉小さじ1/2、水カップ1をグラスに入れてよく混ぜて飲む。
- カモミールティ:カモミールのティーバッグに熱湯を注いで10分抽出してから飲む。
- フェンネルシードティー:フェンネルの種小さじ1(軽くすり潰す)に熱湯1カップを注いで10分抽出してから濾して飲む。
- パイナップル:生のパイナップルを1カップ分食べる。
- パパイヤ:生のパパイヤを1カップ分食べる。
- お腹マッサージ:両手を使って時計回りにお腹をくるくるとマッサージする。
- プロバイオティクスサプリ:プロバイオティクスのサプリを飲む。
- 発酵食品:ザワークラウト、ピクルス、ぬか漬け、古漬け、味噌、豆乳ヨーグルト、麹などから、自然のプロバイオティクスを摂取する。
- 散歩・ヨガ・ストレッチ:食後に15分間くらい体を動かす。
体調不良⑩ 関節炎・関節痛

ビタミンDが不足している
ビタミンDは骨の形成と骨の健康維持に必要な栄養素で抗炎症作用もあるため、不足すると骨に悪影響が出て関節の炎症や痛みを引き起こすと言われています。
またビタミンDの欠乏は、関節の炎症と痛みが特徴の自己免疫疾患である「関節リュウマチ」の発症リスクを高める可能性もあります。
ビタミンDが豊富な植物性食品はほとんどないため、ヴィーガンにはサプリの摂取が奨励されています。
ちなみに、ヴィーガン食に使われる野菜や果物、全粒穀物には抗炎症作用があるため、関節リュウマチによる関節の痛みの軽減に役立ちます。
- 地衣類由来のヴィーガン用ビタミンD3サプリ(1日に2,000~4,000IU)を摂取する。
カルシウムが不足している
カルシウムは筋肉の収縮と弛緩の働きに不可欠であり、欠乏すると筋肉のけいれんを起こして収縮と弛緩の正常なリズムを乱し、痛みを引き起こします。
またカルシウムの摂取が不十分だと骨も弱くなり、骨や関節の痛みのリスクを高める可能性もあります。
カルシウムが豊富に含まれた植物性食品はそこまで多くありませんが、大豆製品やアブラナ科の野菜など、カルシウムが多く含まれた食材を的確に選んで摂取することで、カルシウム不足を回避できます。
- カルシウムの豊富な植物性食品(大豆製品、豆類、ナッツ・シード、アブラナ科の野菜、緑の葉物野菜、干しイチジク、アマランス、モラセス、海藻など)を、毎回の食事に取り入れる。
- カルシウムの吸収率を上げてくれる栄養素(ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、ビタミンC)が含まれた食品と一緒に食べる。
- カルシウムの吸収にはビタミンDが必須なので、ビタミンDが不足しないようにサプリを摂取する。
タンパク質が不足している
タンパク質は筋肉組織の構築と再構築に不可欠であり、タンパク質が不足すると筋力が低下して関節痛を引き起こす可能性があります。
また、タンパク質が不足するとホルモン分泌が減少してバランスが崩れ、特に甲状腺ホルモンのレベルが低下すると筋肉細胞の正常な機能が失われて筋肉の痙攣が起こり、関節の痛みを生じることがあります。
すべての植物にはタンパク質が含まれているため、ヴィーガンがタンパク質欠乏になることはありません。ただし、十分なカロリーを摂取していない人や、豆や大豆製品を避けるなどの偏った食事をしている人は、タンパク質が不足する可能性があるので注意が必要です。
- タンパク質が豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、代替え肉など)を、毎回の食事に取り入れる。
- おやつにヴィーガンプロテインを飲んだり、ヴィーガンプロテインバーを食べたりしてタンパク質の摂取量を増やす。
オメガ3が不足している
オメガ3には優れた抗炎症作用があり、欠乏すると炎症を招いて、関節炎や関節痛を引き起こす可能性があります。
オメガ3の摂取量を増やすと、細胞膜へのアラキドン酸の結合が減少して炎症が抑えられ、関節の痛みが改善するのですが、ヴィーガンは食品から十分なオメガ3を摂取するのは難しいため、サプリの摂取が奨励されています。
- α-リノレン酸(ALA)を含む食品(チアシード、アマニ、ヘンプシード、クルミ、スピルリナ、クロレラ、芽キャベツなど)を毎日摂取して、体内でオメガ3(EPA・DHA)に変換する。
- ALA食品からの変換率はEPAで5~10%、DHAで2~5%と低いため、心配な場合は藻類由来のヴィーガン用オメガ3サプリを一日に250~500mg摂取する。
- 炎症を促進するオメガ6(植物油など)の摂取量を減らし、抗炎症作用のあるオメガ3の摂取量を増やす。
体調不良⑪ 頭痛や片頭痛がする

ビタミンDが不足している
マグネシウムの吸収にはビタミンDが必要であり、ビタミンDが不足するとマグネシウム欠乏症を招いて頻繁な片頭痛を引き起こす可能性があります。
マグネシウム欠乏症は、神経伝達物質のセロトニンによって引き起こされる脳血管の狭窄(脳血管の収縮)を生じ、片頭痛を発症させるのです。
植物性食品から十分なビタミンDを摂取するのは難しく、ヴィーガンはビタミンD不足に陥りやすいため、サプリでの補助が必要になります。
- 地衣類由来のヴィーガン用ビタミンD3サプリ(1日に2,000~4,000IU)を摂取する。
ビタミンB12が不足している
ビタミンB12は(葉酸やビタミンB6と共に)、アミノ酸の一種であるホモシステインの代謝に関与しており、不足するとホモシステイン値が上昇し、片頭痛を発症する可能性があります。
植物にはビタミンB12が含まれていないので、ヴィーガン食に切り替えたあとには、必ずサプリや強化食品などからビタミンB12を摂取しなければなりません。
改善策と予防法
- ビタミンB12のサプリメント(一日に2.4μg以上)を摂取する。
- ビタミンB12が添加されたヴィーガンの加工食品や、植物性ミルク、ニュートリショナルイースト、朝食用シリアルなどを利用する。
塩分が不足している
塩は(カリウム、マグネシウム、カルシウムと同様に)体内の体液バランスの調節に役立つ電解質であり、血中の塩分濃度が低いと脱水症状を招いて、頭痛を引き起こします。
塩分を過剰に摂取する必要はありませんが、少なすぎても健康に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
ホールフードのヴィーガンレシピでは、塩の使用量が極端に少なく設定されているものもありますので、適宜加えるようにしてください。
改善策と予防法
- 1日に6gの自然塩(ナトリウム2.4g)は摂取するようにする。
食事の量が少なすぎてカロリーが不足している
十分な食事量を摂らないと、体が正常に機能するためのエネルギーが不足し、片頭痛や低血糖性頭痛を引き起こす可能性があります。
食物繊維が豊富なヴィーガン食は少量で満腹になってしまうため、一日の食事量と総摂取カロリーが下回らないように注意する必要があります。
- カロリーの高い植物性食品(ナッツ・シード、アボカド、オリーブ、大豆製品、豆類、代替え肉、良質な植物油など)を食事に取り入れて、カロリーを増加する。
- 食事で十分なカロリーが摂れない場合は、おやつ(果物、ナッツ・シード、ドライフルーツ、ヴィーガンプロテインバーなど)を1日に複数回食べる。
体調不良⑫ めまい・立ち眩み

鉄分が不足して貧血になっている
鉄が不足すると血液が運ぶ酸素の量が減少し、めまいや立ち眩みなどの症状を引き起こします。
ヴィーガン食に含まれる非ヘム鉄は体内に吸収されにくく、さらに植物に含まれるフィチン酸が鉄分の吸収を阻害するため、ヴィーガンは一般の推奨摂取量の1.8倍もの鉄分が必要です。
- 鉄分の豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、全粒穀物、ナッツ・シード、緑の葉野菜など)を、毎回の食事に取り入れる。
- ビタミンC食品(柑橘類、アブラナ科の野菜、ベリー類、キウイ、トマト、パプリカなど)と一緒に摂って、鉄分吸収率を上げる。
- 鉄分の吸収を阻害するフィチン酸を減少させるために、豆類や穀物は浸水・発芽・発酵させたり、緑の葉物野菜は蒸したり茹でたりする。
低血圧になっている
ヴィーガン食には、カリウムが豊富で血圧を下げる作用のある食材(野菜、芋類、果物、豆類、大豆製品、ナッツ・シード、きのこ、海藻、全粒穀物)をたくさん使うため、収縮期血圧と拡張期血圧が両方とも低下します。
血圧が下がると脳卒中や心臓病のリスクが減るというメリットはありますが、あまりにも血圧が低下すると脳への血流が減少し、立ち眩みやめまいなどの起立性低血圧を引き起こす可能性があります。
- 塩分(自然塩、味噌、醤油、梅干し、漬物)の摂取量を増やして血圧を上げる。
- カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ココア、チョコレートなど)の摂取量を増やして血圧を上げる。
- 高タンパク高カロリーの食材(ナッツ・シード、豆類、大豆製品、代替え肉、アボカド、オリーヴ、良質な油など)を摂って血圧を上げる。
- 毎日少なくとも2リットルの水を飲み、脱水症状を改善して血液量を増加させ、血圧を安定させる。
- 鉄分が低いと貧血が起こり、めまいや血圧の低下を引き起こすので、鉄分が豊富な植物性食品(豆類、大豆製品、緑の葉野菜、全粒穀物など)をたくさん食べるようにする。
- 1日を通して少量の食事を複数回食べると、めまいを引き起こす血圧の低下を防ぐことができる。
- アルコールは短期的には血圧を上昇させるが、長期的には血圧低下を招いてめまいを引き起こすので、摂取量を制限する。
低血糖になっている
ヴィーガン食には、たくさんの高GI食品(血糖指数の高い食品)が使われます。
高GI食品を食べ過ぎると、血糖値が急上昇したあとに急降下する「反応性低血糖(食後2~4時間後に起こる低血糖の一種)」を招き、めまいを引き起こす可能性があります。
- なるべく低GI食品を選んで食べる。
- 高GI食品を食べるときは、タンパク質や脂質(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、代替え肉、アボカド、オリーヴ、良質な油)を一緒に摂って、糖の吸収を穏やかにする。
高GI食品:白米、白パン、うどん、ラーメン、素麺、米麵、パスタ、餅、シリアル、かぼちゃ、じゃが芋、里芋、山芋、人参、レンコン、栗、トウモロコシ、フルーツジュース、スムージー、パイナップル、バナナ、ジャム、洋菓子、和菓子、米菓子など。
低GI食品:玄米、雑穀米、全粒粉パン、ライ麦パン、十割そば、全粒パスタ、オーツ麦大麦、アブラナ科の野菜、ナス科の野菜、マメ科の野菜、葉物野菜、ネギ類、キノコ、海藻、さつま芋、こんにゃく、ナッツ・シード、リンゴ、アンズ、ベリー類、メロン、柑橘類、マンゴー、桃、洋ナシ、プラム、ザクロ、大豆製品、豆類など。
ビタミンB12が不足している
ビタミンB12が不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こし、中枢神経系の機能に影響を及ぼして脳への血流を減少させるため、めまいや立ち眩みを引き起こす可能性があります。
ヴィーガンは植物からビタミンB12を摂れないので、サプリの摂取は必須です。
- ビタミンB12のサプリメント(一日に2.4μg以上)を摂取する。
体調不良⑬ 抜け毛・薄毛

タンパク質が不足している
髪は主にケラチンと呼ばれるタンパク質でできており、髪の成長に重要な役割を果たしています。
食事からのタンパク質が不足すると、体は機能や器官、臓器などを維持することにタンパク質を使うため、重要度の低い髪の毛の生産は後回しになり、抜け毛や薄毛が引き起こされている可能性があるのです。
植物にはタンパク質が含まれているので、バランスのとれたヴィーガン食を摂っていればヴィーガンがタンパク質不足になることはありません。しかし豆や大豆製品などのタンパク源をあまり食べない人は、タンパク質不足に注意する必要があります。
- タンパク質が豊富な食品(大豆製品、豆類、代替え肉、ナッツ・シード)の摂取量を増やし、髪の成長を促進させる。
- 食事から十分な量のタンパク質を摂るのが難しい人は、ヴィーガンプロテインやヴィーガンプロテインバーを積極的に活用して、髪の成長をサポートする。
セレニウム(セレン)を摂りすぎている
セレニウムは髪の成長をサポートする微量ミネラルですが、摂取し過ぎると抗酸化酸素の過剰産生を引き起こし、毛包内の細胞を攻撃して抜け毛につながる可能性があります。
過剰に摂取したセレニウムが毛髪の構造を変化させ、毛周期を狂わせて、休止期脱毛症(髪の成長が休止して抜け毛が増加する症状)を引き起こすのです。
セレニウムの一日の推奨摂取量は55μgで、耐容上限量の400μgを超えると毒性が発生して抜け毛を招きます。
ヴィーガンの主なセレニウム源と言えばブラジルナッツですが、たった1粒のブラジルナッツには68μgのセレニウムが含まれており、1日の推奨量55μgを超えています。7粒で耐容上限量の400μgを軽くオーバーしてしまうので、食べ過ぎないようにご注意ください。
- ブラジルナッツは1日に2粒以上は食べないようにする。
鉄分が不足している
鉄分は髪を育てる毛包細胞に酸素を届ける「ヘモグロビン」の生成をサポートすることで、髪の成長と健康に重要な役割を果たしています。
鉄分濃度が低下して酸素が不足すると毛包が適切に機能しなくなり、髪の毛が抜けてしまうことがあります。
ヴィーガンは鉄分不足になりやすいと言われているので、鉄分の豊富な食物性食品を努めて摂取するようにしてください。
- 鉄分が豊富な食材(大豆製品、豆類、全粒穀物、ナッツ・シード、葉物野菜、海藻など)を、毎回の食事に取り入れる。
- ビタミンCが豊富な食材(柑橘類、ベリー類、アブラナ科の野菜、トマト、パプリカ、キウイ、パイナップルなど)を一緒に食べて、鉄分の吸収率を上げる。
ビタミンB12が不足している
ビタミンB12は、頭皮に酸素を運んで髪の成長を促す「赤血球」の生成をサポートします。
ビタミンB12が欠乏していると、毛包は効率的に髪の毛を成長させることができず、抜け毛を引き起こす可能性があるのです。
またビタミンB12はDNAの合成にも必要なため、不足すると細胞の分裂と増殖が妨げられて、抜け毛や薄毛の原因となります。
ヴィーガンは植物からビタミンB12を摂取出来ないので、必ずサプリを使用する必要があります。
- ビタミンB12のサプリメントを1日2.4mg以上摂取する。
亜鉛が不足している
亜鉛は毛包の成長に不可欠な栄養素であり、亜鉛が不足すると抜け毛や薄毛を引き起こす可能性があります。
亜鉛欠乏の兆候の一つが「脱毛」なので、ヴィーガン食に切り替えてから抜け毛が始まった場合は、亜鉛が不足しているかもしれません。
ただし、サプリで亜鉛を過剰に摂取してしまうと脱毛が起こるので、亜鉛のサプリを摂るときは摂取量に十分注意する必要があります。
- 亜鉛が豊富な食品(豆類、大豆製品、ナッツ・シード、全粒穀物)を毎日食べる。
- 豆類、大豆製品、全粒穀物は12~24時間浸水してフィチン酸を減らしてから調理する。*水を換えながら浸水を続けて発芽させてもよい。
- ナッツ・シードは8時間浸水してフィチン酸を減らし、ざるにあけて水を良く切ってから食べるようにする。*水を換えながら浸水を続けて発芽させてもよい。
- 植物に含まれる亜鉛の生体利用率の低さを考慮して、一般よりも多めに(男性16.5mg、女性12mg)摂取する。
- 心配な方は亜鉛のサプリメントを摂取する。*亜鉛の上限摂取量は40mg。
まとめ:多種多様な植物性食品を満足するまで食べて、必須栄養素をしっかりと摂ろう!

今回は、「ヴィーガン食を始めた人に起こる体調不良の改善策と予防法」について解説しました。
ヴィーガン初心者さんの体調不良のほとんどは、「必須栄養素の不足」が原因で起こります。
普通に肉や乳製品を食べていても、必須栄養素が不足すれば、疲労、脳の霧、肌荒れ、うつ病、不眠症、冷え性、生理不順、お腹の張り、関節痛、頭痛、貧血などの体調不良になります。
これらの体調不良はヴィーガン特有のものではないので、慌てたり動揺したりする必要はありません。
多種多様な植物性食品を、満遍なくバランスよく食べていれば、人体に必要な栄養素はすべて摂取でき、体調は改善するからです。
「ヴィーガンの健康」について調べたいときは、海外の医師や栄養学の専門家のユーチューブ番組がおすすめです。すべて英語ですが自動翻訳機能もありますので、ぜひご活用ください。
ここをクリックすると、完全菜食の医師によるユーチューブ番組一覧が現れます。
- マイケル・グレガー医師:ヴィーガンの栄養学研究に関する最新情報を、わかりやすく解説する番組。
- ニール・バーナード医師:毎回さまざまな分野のヴィーガン医師が登場し、質問に答えるトーク番組。
- サイラス・カンバッタ医師:糖尿病の専門チャンネル。血糖値を上げない食事法を伝授している。
- マシュー・ナグラ医師:自然療法医の観点から最新のヴィーガン栄養学を、2分以内の動画にまとめて簡潔に解説している。
- Plant Based Science London:各分野のヴィーガン医師が発表した最新情報を、分かりやすくまとめたチャンネル。
- ガース・デイヴィス医師:歯に衣着せぬ物言いで、栄養学の通説を覆してくれる番組。
- The Real Truth About Health:各分野で活躍する専門家が健康、栄養学、環境、食品システムについて意見を交わす番組。
- ファラズ・ハルシーニ医師:熱心なヴィーガン活動家でもあり、ヴィーガンの健康とヴィーガン思想の啓蒙を同じ熱量で発信する番組。
このほかにも、たくさんの医師が情報発信をしてくれています。「vegan doctors」で検索して、チェックしてみてください。
ヴィーガン食を始めたばかりのころは、いろんな変化(物理的にも精神的にも)に対処しなくてはならず、必須栄養素のことなど忘れがちです。
ですが、ハッピーなヴィーガンライフを送るためには、健康でいることがなによりも重要です。
ぜひ日ごろから「必須栄養素」のことを考えて、献立を立ててみてください。体調不良に悩まされることは、きっとなくなるはずです。

体調不良が長引くようならば、必ず病院で診てもらってね。栄養素不足とは関係ないところに原因があるかもしれないよ。
ヴィーガンの栄養素についてさらに知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。